混合型肝癌と肝細胞癌を重複した血液透析患者の肝切除の1例
症例は38歳, 男性で, B型肝炎のキャリアーであった. 現病歴では母親からの生体腎移植後, 移植腎梗塞となり, 血液透析を再開されている. 今回, 入院時検査成績でHBsAg, HBcAb陽性とAFPの高値を認めた. CEA, CA19-9は正常であった. 超音波及びCT検査で肝S5とS6に約4cm及び6cm大の腫瘤を認め, 血管造影でS5はhypovascular tumor, S6はtumor stainを示した. 肝細胞癌と診断し下区域切除術を施行. S5は中心出血壊死を伴う索状型高分化型肝細胞癌で, S6は肝細胞癌と胆管細胞癌の混在するmixed typeの混合型肝癌であった. 混合...
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Published in | 肝臓 Vol. 38; no. 7; pp. 458 - 463 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
25.07.1997
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.38.458 |
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Summary: | 症例は38歳, 男性で, B型肝炎のキャリアーであった. 現病歴では母親からの生体腎移植後, 移植腎梗塞となり, 血液透析を再開されている. 今回, 入院時検査成績でHBsAg, HBcAb陽性とAFPの高値を認めた. CEA, CA19-9は正常であった. 超音波及びCT検査で肝S5とS6に約4cm及び6cm大の腫瘤を認め, 血管造影でS5はhypovascular tumor, S6はtumor stainを示した. 肝細胞癌と診断し下区域切除術を施行. S5は中心出血壊死を伴う索状型高分化型肝細胞癌で, S6は肝細胞癌と胆管細胞癌の混在するmixed typeの混合型肝癌であった. 混合型肝癌は原発性肝癌の約1%でAllenらは重複癌, combined type, mixed typeの3型に分類している. 本例はmixed typeで肝細胞癌との重複は我々の検索範囲で報告例がなく稀であった. また, 発生機転ではbipotential intermediate cellの癌化が組織学的に示唆された. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.38.458 |