回盲部原発悪性リンパ腫の化学療法中に腸閉塞を呈した1例

症例は59歳,男性.回盲部を主病巣とする悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)に対して CHOP 療法を2クール施行した後,腸閉塞を発症した.手術適応と診断したものの,発症時,骨髄抑制(白血球数1,800/μl)を認めたため, G-CSFを投与.白血球数が3,000/μl以上に回復するのを待ち,腸閉塞発症約2ヵ月後に回盲部切除術を施行した.病理組織学的所見では,狭窄部に高度な線維化と慢性炎症細胞の浸潤を認めるとともに,一部では大型の異型リンパ球の集籏巣を認め, diffuse large B-cell lymphomaの診断であった.術後経過は良好で,経口摂取開始後,化学療法を再開した.化学療法の...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 3; pp. 645 - 648
Main Authors 蓮尾, 公篤, 稲山, 嘉明, 高梨, 吉則, 西井, 鉄平, 利野, 靖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.03.2006
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.645

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Summary:症例は59歳,男性.回盲部を主病巣とする悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)に対して CHOP 療法を2クール施行した後,腸閉塞を発症した.手術適応と診断したものの,発症時,骨髄抑制(白血球数1,800/μl)を認めたため, G-CSFを投与.白血球数が3,000/μl以上に回復するのを待ち,腸閉塞発症約2ヵ月後に回盲部切除術を施行した.病理組織学的所見では,狭窄部に高度な線維化と慢性炎症細胞の浸潤を認めるとともに,一部では大型の異型リンパ球の集籏巣を認め, diffuse large B-cell lymphomaの診断であった.術後経過は良好で,経口摂取開始後,化学療法を再開した.化学療法の進歩の一方で,本症例の如く骨髄抑制を合併した手術適応症例については,待機手術が可能であるか,慎重な治療戦略を立てる必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.645