脳血管障害慢性期における凝固線溶系の動態

脳血管障害慢性期 (1ヵ月~1年以内) の患者について凝固系因子としてantithrombinIII (ATIII), 線溶系因子としてPlasminogen (PLG), α2-Plasmin inhibitor (APL) を測定し血液凝固線溶系の動態を検討した.脳出血患者ではATIII, PLG, APLのいずれも有意な変動を認めなかった。しかしながら脳梗塞患者を抗血小板剤投与の有無で比較した場合, 抗血小板剤非投与群ではATIII, PLGの有意な低下を認めた.性別では男性患者で, 年齢別では70歳以上でより有意に低下しており, また脳梗塞を主幹動脈系梗塞と穿通枝系梗塞に大別した場合前...

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Published in脳卒中 Vol. 9; no. 2; pp. 119 - 123
Main Authors 新名主, 宏一, 納, 光弘, 松室, 健士, 大勝, 洋祐, 井形, 昭弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 1987
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.9.119

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Summary:脳血管障害慢性期 (1ヵ月~1年以内) の患者について凝固系因子としてantithrombinIII (ATIII), 線溶系因子としてPlasminogen (PLG), α2-Plasmin inhibitor (APL) を測定し血液凝固線溶系の動態を検討した.脳出血患者ではATIII, PLG, APLのいずれも有意な変動を認めなかった。しかしながら脳梗塞患者を抗血小板剤投与の有無で比較した場合, 抗血小板剤非投与群ではATIII, PLGの有意な低下を認めた.性別では男性患者で, 年齢別では70歳以上でより有意に低下しており, また脳梗塞を主幹動脈系梗塞と穿通枝系梗塞に大別した場合前者において有意に低下していた.APLは正常範囲の変動であった。ATIII, PLGの変動は脳動脈硬化の進展とよく一致し動脈硬化性病変における凝固系の活性化, さらに線溶系の発動を反映しているものと推定される.また抗血小板剤投与群ではATIII, PLGは正常範囲の変動であり, 抗血小板剤の有効性が示唆された.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.9.119