Anti-M8陽性を示し,血清トランスアミナーゼが慢性肝炎様に変動した原発性胆汁性肝硬変の1例

血清トランスアミナーゼが慢性肝炎様に変動した原発性胆汁性肝硬変(PBC)例を経験した.症例は37歳,女性.肝機能検査で胆道系酵素に比し,血清トランスアミナーゼが高値で変動した.それに対して強力ネオミノファーゲンC (SNMC)が有効であった.膠質反応の上昇,IgM, IgGの高値もみられ,抗ミトコンドリア抗体(AMA)は160倍と陽性であった.また原因不明の好酸球増多も存在した.肝生検組織では慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)を認めるPBC早期の所見であり,piecemeal necrosisは認められなかった.AMAの亜型ではanti-M2陽性,anti-M4陰性,anti-M8陽性であ...

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Published in肝臓 Vol. 29; no. 5; pp. 679 - 683
Main Authors 長嶺, 竹明, 高橋, 仁公, 竹沢, 二郎, 山田, 昇司, 小林, 節雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1988
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.29.679

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Summary:血清トランスアミナーゼが慢性肝炎様に変動した原発性胆汁性肝硬変(PBC)例を経験した.症例は37歳,女性.肝機能検査で胆道系酵素に比し,血清トランスアミナーゼが高値で変動した.それに対して強力ネオミノファーゲンC (SNMC)が有効であった.膠質反応の上昇,IgM, IgGの高値もみられ,抗ミトコンドリア抗体(AMA)は160倍と陽性であった.また原因不明の好酸球増多も存在した.肝生検組織では慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)を認めるPBC早期の所見であり,piecemeal necrosisは認められなかった.AMAの亜型ではanti-M2陽性,anti-M4陰性,anti-M8陽性であった.本例はトランスアミナーゼが慢性活動性肝炎(CAH)様に変動したものの,AMA亜型や組織所見よりCAH-PBC mixed typeは否定的であったが,本例のトランスアミナーゼの変動とanti-M8陽性との関連も考えられ,今後の経過に興味がもたれる.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.29.679