Ehlers-Danlos症候群による大動脈弁輪拡張症に対する大動脈基部置換術の1例

症例は33歳,女性.23歳時に皮膚生検でEhlers-Danlos症候群と診断されていた.大動脈弁輪拡張症による大動脈弁閉鎖不全症ならびに上行大動脈瘤に対して大動脈基部置換術を施行した.手術の工夫として,末梢側吻合は残存大動脈に対する物理的侵襲を避けるために左大腿動脈送血による低体温循環停止・脳分離体外循環としてopen distal anastomosisとした.さらに中枢側吻合は大動脈壁を利用して大動脈弁輪を補強した.無輸血で手術を終了し,術後経過は良好であった.組織脆弱性がみられるEhlers-Danlos症候群においても,術式の工夫などで安全に開心術を行いうると考えられた....

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 31; no. 4; pp. 288 - 291
Main Authors 熊野, 浩, 山口, 明満, 木地, 達也, 加藤, 聡, 丸橋, 裕之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.07.2002
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.31.288

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Summary:症例は33歳,女性.23歳時に皮膚生検でEhlers-Danlos症候群と診断されていた.大動脈弁輪拡張症による大動脈弁閉鎖不全症ならびに上行大動脈瘤に対して大動脈基部置換術を施行した.手術の工夫として,末梢側吻合は残存大動脈に対する物理的侵襲を避けるために左大腿動脈送血による低体温循環停止・脳分離体外循環としてopen distal anastomosisとした.さらに中枢側吻合は大動脈壁を利用して大動脈弁輪を補強した.無輸血で手術を終了し,術後経過は良好であった.組織脆弱性がみられるEhlers-Danlos症候群においても,術式の工夫などで安全に開心術を行いうると考えられた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.31.288