甲状腺剤中毒症 (Thyreoidismus Medicamentosa)
甲状腺剤含有の市販やせ薬中毒症の自験12症例の長期検索およびアンケートによる全国発生の115症例の分析より本症の臨床所見を総括した. 患者年令層は22才を中心とした妙齢の婦人に多く, 薬物服用期間は数カ月より7年間にわたつている. 服用時の主要症状は頻脈, 心悸亢進, やせ, 月経異常, 各種精神症状, 甲状腺腫, 下痢, 脱毛, 高血圧などである. 服用時の甲状腺機能検査では特有なBMR, PBI, T3 test値の高値と, それに反して131I摂取率, PBI転換率の低値がみられる. 薬物中止後の予後は症例の約半数は全治したが, 残りの例では持続的甲状腺機能低下または機能亢進状態, 無月...
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| Published in | 日本内科学会雑誌 Vol. 55; no. 5; pp. 461 - 467 |
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| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本内科学会
1966
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0021-5384 1883-2083 |
| DOI | 10.2169/naika.55.461 |
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| Summary: | 甲状腺剤含有の市販やせ薬中毒症の自験12症例の長期検索およびアンケートによる全国発生の115症例の分析より本症の臨床所見を総括した. 患者年令層は22才を中心とした妙齢の婦人に多く, 薬物服用期間は数カ月より7年間にわたつている. 服用時の主要症状は頻脈, 心悸亢進, やせ, 月経異常, 各種精神症状, 甲状腺腫, 下痢, 脱毛, 高血圧などである. 服用時の甲状腺機能検査では特有なBMR, PBI, T3 test値の高値と, それに反して131I摂取率, PBI転換率の低値がみられる. 薬物中止後の予後は症例の約半数は全治したが, 残りの例では持続的甲状腺機能低下または機能亢進状態, 無月経, やせ持続などがみられ, とくに長期, 大量服用者においてその傾向がつよい. 一部では中止困難例もある. 以上の臨床経過より, 本中毒症の病像は多岐にわたるので, これらの病態を総括して, Thyreoidismus medicamentosa甲状腺剤中毒症とよぶことを提唱する. |
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| ISSN: | 0021-5384 1883-2083 |
| DOI: | 10.2169/naika.55.461 |