嚢胞状形態を呈した空腸GISTの1例

症例は68歳,女性. 2003年5月,労作時呼吸困難が出現し近医受診,貧血を指摘された.上部内視鏡検査,大腸内視鏡検査では出血源の同定には至らず,鉄剤投与で経過観察されていた.同年10月に症状増悪し,当科紹介受診となった.腹部CT, MRI検査で,左上腹部に10×9cm大の嚢胞状腫瘍を認めた.原発部位を診断するため腹部血管造影検査を施行,空腸原発のGastrointestinal stromal tumor (GIST)の疑いで手術を施行した.病理組織検査で,わずかに存在した充実性部分は,紡錘形細胞が束状配列し, KIT強陽性, CD34弱陽性, α-SMA, vimentinが陽性, MIB...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 1; pp. 112 - 117
Main Authors 北島, 政幸, 前多, 力, 坂本, 一博, 渡部, 智雄, 鎌野, 俊紀, 山本, 哲朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.01.2006
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.112

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Summary:症例は68歳,女性. 2003年5月,労作時呼吸困難が出現し近医受診,貧血を指摘された.上部内視鏡検査,大腸内視鏡検査では出血源の同定には至らず,鉄剤投与で経過観察されていた.同年10月に症状増悪し,当科紹介受診となった.腹部CT, MRI検査で,左上腹部に10×9cm大の嚢胞状腫瘍を認めた.原発部位を診断するため腹部血管造影検査を施行,空腸原発のGastrointestinal stromal tumor (GIST)の疑いで手術を施行した.病理組織検査で,わずかに存在した充実性部分は,紡錘形細胞が束状配列し, KIT強陽性, CD34弱陽性, α-SMA, vimentinが陽性, MIB-1 labeling index 4%,腫瘍細胞分裂像も400倍高倍視野50視野で5未満であり,中リスク群のGISTと診断した. GISTは腫瘍内出血に伴い嚢胞状形態を呈し診断に難渋することがある.嚢胞状形態を呈する腫瘍においてもGISTを鑑別診断に入れる必要があると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.112