多糖固定化吸着材による末梢血中T細胞の分離、濃縮

免疫機構において重要な役割を果たしているリンパ球を、そのサブクラスに分離する技術は、種々の基礎的研究や臨床医学の分野で重要な課題となっている。そこで我々は、糖タンパク質が細胞接着や抗原認識等において重要な役割を果たしていることから、糖類に着目し、細胞分離用リガンドとしての可能性を探った。その結果、糖を固定化した分離材は、非リンパ球成分(顆粒球・単球)に対し、高い親和性を有する傾向がみられた。糖類の中でも、複合多糖のペクチンは、Bリンパ球および非リンパ球成分に対し高接着性を示す一方、Tリンパ球に対しては低付着性であった。ペクチンは、ヒト末梢血から直接、Tリンパ球を回収するためのリガンドとして有用...

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Published in人工臓器 Vol. 18; no. 3; pp. 1397 - 1400
Main Authors 山本, 雄一, 由良, 洋文, 鮫島, 正, 高橋, 晃, 赤池, 敏宏, 名児耶, 雅子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1989
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.18.1397

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Summary:免疫機構において重要な役割を果たしているリンパ球を、そのサブクラスに分離する技術は、種々の基礎的研究や臨床医学の分野で重要な課題となっている。そこで我々は、糖タンパク質が細胞接着や抗原認識等において重要な役割を果たしていることから、糖類に着目し、細胞分離用リガンドとしての可能性を探った。その結果、糖を固定化した分離材は、非リンパ球成分(顆粒球・単球)に対し、高い親和性を有する傾向がみられた。糖類の中でも、複合多糖のペクチンは、Bリンパ球および非リンパ球成分に対し高接着性を示す一方、Tリンパ球に対しては低付着性であった。ペクチンは、ヒト末梢血から直接、Tリンパ球を回収するためのリガンドとして有用と考えられる。ペクチンに対する白血球接着の選択性は、糖鎖のflexibilityと、その糖鎖上に存在する適度なカルボキシル基に基づくものと、推測される。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.18.1397