慢性肝疾患例におけるトリメタジオン負荷試験と画像解析による肝の形態指標との関連について

肝ミクロゾーム分画で代謝される抗てんかん薬のtrimethadione (TMO)を用いた負荷試験が,肝のいかなる組織形態学所見を反映しているか検討した.対象は肝硬変(LC) 16例,慢性肝炎(CH)と肝線維症の各2例の20例である.術前の肝CT像より算出した肝容積と肝組織の光学顕微鏡所見の画像解析により肝実質比(実質/実質+間質)や単位体積あたりの細胞数を求めた.それらの指標より肝実質量(肝容積×実質比),肝細胞量(肝容積×単位体積あたりの肝細胞数),肝実質細胞総量(肝容積×実質比×単位体積あたりの細胞数)を算出した.TMO負荷試験値と肝実質量や肝細胞量とは,それぞれ高い相関(r=0.771...

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Published in肝臓 Vol. 37; no. 4; pp. 221 - 226
Main Authors 松田, 充宏, 石川, 詔雄, 長田, 明, 土井, 幹雄, 轟, 健, 辻, 勝久, 山本, 祐二, 深尾, 立, 中野, 雅行, 大塚, 雅昭, 田中, 栄之介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.04.1996
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.37.221

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Summary:肝ミクロゾーム分画で代謝される抗てんかん薬のtrimethadione (TMO)を用いた負荷試験が,肝のいかなる組織形態学所見を反映しているか検討した.対象は肝硬変(LC) 16例,慢性肝炎(CH)と肝線維症の各2例の20例である.術前の肝CT像より算出した肝容積と肝組織の光学顕微鏡所見の画像解析により肝実質比(実質/実質+間質)や単位体積あたりの細胞数を求めた.それらの指標より肝実質量(肝容積×実質比),肝細胞量(肝容積×単位体積あたりの肝細胞数),肝実質細胞総量(肝容積×実質比×単位体積あたりの細胞数)を算出した.TMO負荷試験値と肝実質量や肝細胞量とは,それぞれ高い相関(r=0.771, r=0.809; p<0.0001)を認め,さらに肝細胞数を最も反映すると思われる肝実質細胞総量とも高い相関を認めた(r=0.798, p<0.0001). 以上よりTMO負荷試験が肝のfunctional volumeを評価できるのは肝細胞数をよく反映しているためと考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.37.221