胆管嚢胞腺癌の1例

症例は79歳,男性.舌癌の全身精査の際,腹部CTにて肝左葉に腫瘤影を指摘され,手術目的に当科紹介となった.血液・生化学検査にて異常所見を認めず,腫瘍マーカーも正常であった.腹部超音波およびCT検査所見で肝S3領域に嚢胞性病変の内部に乳頭状に発育する腫瘤影を認めた. MRI検査では, T1でlow, T2でhigh intensityの均一な信号を示す嚢胞性病変の内部に充実性の結節を認めた.腹部血管造影検査では, A4を栄養血管とする腫瘍濃染像を認めた.術前USガイド下に嚢胞液の細胞診を行ったところclass IIIであったが,腫瘤組織の生検にて胆管嚢胞腺癌と診断し,肝左葉切除術を行った.摘出標...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 1; pp. 158 - 162
Main Authors 村田, 年弘, 荒田, 尚, 武田, 晃, 安井, 義政, 竹内, 仁司, 田中屋, 宏爾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.01.2006
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.158

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Summary:症例は79歳,男性.舌癌の全身精査の際,腹部CTにて肝左葉に腫瘤影を指摘され,手術目的に当科紹介となった.血液・生化学検査にて異常所見を認めず,腫瘍マーカーも正常であった.腹部超音波およびCT検査所見で肝S3領域に嚢胞性病変の内部に乳頭状に発育する腫瘤影を認めた. MRI検査では, T1でlow, T2でhigh intensityの均一な信号を示す嚢胞性病変の内部に充実性の結節を認めた.腹部血管造影検査では, A4を栄養血管とする腫瘍濃染像を認めた.術前USガイド下に嚢胞液の細胞診を行ったところclass IIIであったが,腫瘤組織の生検にて胆管嚢胞腺癌と診断し,肝左葉切除術を行った.摘出標本では3.2cm大の嚢胞性病変の内部に2.2cmの乳頭状に発育をした充実性成分を認めた.胆管嚢胞腺癌は稀な疾患であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.158