術中覚醒を目的とした頸動脈内膜切除術の麻酔

頸動脈狭窄症に対する頸動脈内膜切除術は,手術操作による脳虚血に起因する中枢神経障害が手術合併症として最も危惧される。 われわれは本症5症例に中枢神経障害を術中,確実に把握する目的で頸部硬膜外麻酔に少量の鎮痛薬と鎮静薬を併用し,さらに気管内挿管による酸素-笑気麻酔を試みた。 頸動脈クランプ直前からクランプ解除まで笑気の投与を一時中止して患者を覚醒させ,意識レベルや四肢の運動能の検査を頻回に行なった。 内シャントの造設はテストクランプ中に神経学的異常を認めた2例に行なった。その結果全例において中枢神経系の術後合併症は認めなかった。この麻酔法は局所麻酔法と全身麻酔法のそれぞれの欠点を補い,利点を生か...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 15; no. 4; pp. 320 - 325
Main Authors 大石, 浩隆, 原野, 清, 十時, 忠秀, 戸野, 保, 永澤, 一郎, 増田, 和久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.05.1995
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.15.320

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Summary:頸動脈狭窄症に対する頸動脈内膜切除術は,手術操作による脳虚血に起因する中枢神経障害が手術合併症として最も危惧される。 われわれは本症5症例に中枢神経障害を術中,確実に把握する目的で頸部硬膜外麻酔に少量の鎮痛薬と鎮静薬を併用し,さらに気管内挿管による酸素-笑気麻酔を試みた。 頸動脈クランプ直前からクランプ解除まで笑気の投与を一時中止して患者を覚醒させ,意識レベルや四肢の運動能の検査を頻回に行なった。 内シャントの造設はテストクランプ中に神経学的異常を認めた2例に行なった。その結果全例において中枢神経系の術後合併症は認めなかった。この麻酔法は局所麻酔法と全身麻酔法のそれぞれの欠点を補い,利点を生かした方法ではないかと思われる。
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.15.320