破骨細胞様巨細胞を伴う乳癌の1例

稀な破骨細胞様巨細胞を伴う乳癌の1手術例を報告する. 症例は49歳の女性で乳房腫瘤を主訴に来院.右乳房外上部に2.0×1.8cm大の硬い腫瘤を触知し,超音波検査とマンモグラフィーでは乳癌が疑われた.穿刺吸引細胞診では多数の多核巨細胞と異型上皮細胞の小集塊が認められたが,巨細胞を伴う他の良性疾患も否定し得ぬため切除生検を施行した.免疫組織学的検査で多核巨細胞はCD68陽性であり,破骨細胞様巨細胞を伴う浸潤性乳管癌と診断された.乳房温存術と腋窩リンパ節郭清を施行し,術後8カ月目の現在再発の徴候無く健在である.巨細胞を伴う乳腺疾患は多彩であり,細胞診で鑑別診断が困難な際は,針生検や切除生検による組織...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 3; pp. 587 - 590
Main Authors 石川, 隆, 野島, 洋樹, 室, 雅彦, 金, 仁洙, 井谷, 史嗣, 石井, 辰明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.03.2005
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.66.587

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Summary:稀な破骨細胞様巨細胞を伴う乳癌の1手術例を報告する. 症例は49歳の女性で乳房腫瘤を主訴に来院.右乳房外上部に2.0×1.8cm大の硬い腫瘤を触知し,超音波検査とマンモグラフィーでは乳癌が疑われた.穿刺吸引細胞診では多数の多核巨細胞と異型上皮細胞の小集塊が認められたが,巨細胞を伴う他の良性疾患も否定し得ぬため切除生検を施行した.免疫組織学的検査で多核巨細胞はCD68陽性であり,破骨細胞様巨細胞を伴う浸潤性乳管癌と診断された.乳房温存術と腋窩リンパ節郭清を施行し,術後8カ月目の現在再発の徴候無く健在である.巨細胞を伴う乳腺疾患は多彩であり,細胞診で鑑別診断が困難な際は,針生検や切除生検による組織学的診断が必要であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.587