重症筋無力症患者に及ぼすイソフルレンの筋弛緩作用と呼吸抑制について

重症筋無力症患者13名の胸腺摘除術にイソフルレン(GOI)およびエンフルレン(GOÈ)を用いて麻酔管理を行なった.GOI群,GOE群とも,10分間の緩徐導入を行なった後の喉頭展開は容易で,この間の循環動態も安定していた.GOIでは,GOÈ同様に安定した循環動態と4連刺激の第1刺激によってもたらされる筋張力first twitch (T1)と,第1刺激によってもたらされた筋張力に対する第4刺激のそれ(T4)の比,すなわちtrain of four ratio(T4/T1)の低下に示される筋弛緩が得られ,手術操作に筋弛緩薬を必要としなかった.また術後呼吸管理の必要性を予測するためのスコアーリングシ...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 12; no. 7; pp. 695 - 702
Main Authors 天羽, 敬祐, 肥川, 義雄, 宇田川, 友之, 藤井, 善隆, 安田, 勝久, 豊岡, 秀訓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 1992
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.12.695

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Summary:重症筋無力症患者13名の胸腺摘除術にイソフルレン(GOI)およびエンフルレン(GOÈ)を用いて麻酔管理を行なった.GOI群,GOE群とも,10分間の緩徐導入を行なった後の喉頭展開は容易で,この間の循環動態も安定していた.GOIでは,GOÈ同様に安定した循環動態と4連刺激の第1刺激によってもたらされる筋張力first twitch (T1)と,第1刺激によってもたらされた筋張力に対する第4刺激のそれ(T4)の比,すなわちtrain of four ratio(T4/T1)の低下に示される筋弛緩が得られ,手術操作に筋弛緩薬を必要としなかった.また術後呼吸管理の必要性を予測するためのスコアーリングシステムに照らして,イソフルレンに術後呼吸状態への悪影響を認めなかった.イソフルレンは血液・脂肪への溶解度がエンフルレンより小さく覚醒の早いことが期待され,重症筋無力症患者の麻酔管理に有用と思われた.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.12.695