岐阜県S村における学童期のHBV感染に関する疫学的研究-6年間のHBs抗体の推移
飛騨S村の15歳未満のHBs抗体陽性者について過去6年間の推移を観察し,学童期のHBV感染について検討した.昭和56年度全受診者中HBs抗原陽性者は23名(1.9%), HBs抗体陽性者は304名(24.7%)で,学童期のHBs抗原陽性者は6名(2.4%), HBs抗体陽性者は20名(8.1%)であった.S村にはK(66名),S(91名)2校の小学校があり,いずれも1学年1学級である.K小にはHBs抗原陽性者はなく,HBs抗体持続陽性者1名だけであったが,S小にはHBs抗原陽性者6名,HBs抗体陽性者14名と多く,しかも抗体陽性者は抗原陽性者の存在する学年にのみ認められた.この14名中11名は...
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Published in | 肝臓 Vol. 25; no. 8; pp. 973 - 978 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
1984
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.25.973 |
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Summary: | 飛騨S村の15歳未満のHBs抗体陽性者について過去6年間の推移を観察し,学童期のHBV感染について検討した.昭和56年度全受診者中HBs抗原陽性者は23名(1.9%), HBs抗体陽性者は304名(24.7%)で,学童期のHBs抗原陽性者は6名(2.4%), HBs抗体陽性者は20名(8.1%)であった.S村にはK(66名),S(91名)2校の小学校があり,いずれも1学年1学級である.K小にはHBs抗原陽性者はなく,HBs抗体持続陽性者1名だけであったが,S小にはHBs抗原陽性者6名,HBs抗体陽性者14名と多く,しかも抗体陽性者は抗原陽性者の存在する学年にのみ認められた.この14名中11名はこの6年間におけるHBs抗体陽転者で,1名以外は家族内感染は考えられず,学校内感染も推測された.しかし,その多くはHBs抗原carrier多発地域の子供であり,今後の検討を要した,また,S村全住民の9年間の観察で母児感染を除くHBs抗原陽転者は10歳の児童1名あり,healthy carrierとなった. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.25.973 |