外傷性横隔膜ヘルニアの病期別麻酔管理の問題点

外傷性横隔膜ヘルニアは,急性期・慢性期・閉塞期の3期に分類される.今回,これら病期別の症例を経験し,それぞれの周術期における問題点を検討した.急性期の症例では,flail chestや肺挫傷等の多臓器合併損傷のため,術後呼吸管理に難渋した.慢性期では,腸閉塞や絞扼性イレウス等の消化器症状が潜在するため,誤嚥性肺炎に注意が必要であった.閉塞期では,消化管の嵌頓による腸管壊死の合併のため膿胸や敗血症に対する管理が必要となる.急性期,閉塞期とも緊急手術となり,脱出臓器を腹腔内に還納するまで肺の圧排による換気障害が発症しやすく,より慎重な呼吸管理が必要と思われ,麻酔法の選択としては,硬膜外麻酔と一側片...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 20; no. 9; pp. 547 - 550
Main Authors 舩津, 春美, 野村, 滋, 小泉, 有美馨, 湧田, 加代子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2000
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.20.547

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Summary:外傷性横隔膜ヘルニアは,急性期・慢性期・閉塞期の3期に分類される.今回,これら病期別の症例を経験し,それぞれの周術期における問題点を検討した.急性期の症例では,flail chestや肺挫傷等の多臓器合併損傷のため,術後呼吸管理に難渋した.慢性期では,腸閉塞や絞扼性イレウス等の消化器症状が潜在するため,誤嚥性肺炎に注意が必要であった.閉塞期では,消化管の嵌頓による腸管壊死の合併のため膿胸や敗血症に対する管理が必要となる.急性期,閉塞期とも緊急手術となり,脱出臓器を腹腔内に還納するまで肺の圧排による換気障害が発症しやすく,より慎重な呼吸管理が必要と思われ,麻酔法の選択としては,硬膜外麻酔と一側片肺換気の併用が望ましい.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.20.547