大網組織を用いた術中作成型自家組織人工血管の開発

自家組織が人工臓器素材として最適であるが、人工血管の場合その作成にはSparkesの方法1)で6週間余り、佐藤らの方法2)でも3週間必要である。我々は静脈片を用いる人工血管への組織片移植法を開発した3)が、この原法を用い, 治癒力の強い大網を組織片として用いて術中に行う方法を新たに開発した。具体的方法としては成犬の開腹下に大網を3g採取し、剪刀にて細切し、生理的食塩水中にいれて大網組織細切片浮遊液を作成する。次に内径6~7mm・長さ5.7cmの高有孔性ポリエステル布製人工血管に圧力をかけて浮遊液を通過させて、組織片を絡ませた後、それを裏返した。成犬腹部大動脈に植え込んだ結果, 全例開存していた...

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Published in人工臓器 Vol. 21; no. 3; pp. 1227 - 1230
Main Authors 梶原, 博一, 石井, 正徳, 富山, 泉, 孟, 真, 星野, 和実, 近藤, 治郎, 小菅, 宇之, 野一色, 泰晴, 松本, 昭彦, 市川, 由紀夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1992
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.21.1227

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Summary:自家組織が人工臓器素材として最適であるが、人工血管の場合その作成にはSparkesの方法1)で6週間余り、佐藤らの方法2)でも3週間必要である。我々は静脈片を用いる人工血管への組織片移植法を開発した3)が、この原法を用い, 治癒力の強い大網を組織片として用いて術中に行う方法を新たに開発した。具体的方法としては成犬の開腹下に大網を3g採取し、剪刀にて細切し、生理的食塩水中にいれて大網組織細切片浮遊液を作成する。次に内径6~7mm・長さ5.7cmの高有孔性ポリエステル布製人工血管に圧力をかけて浮遊液を通過させて、組織片を絡ませた後、それを裏返した。成犬腹部大動脈に植え込んだ結果, 全例開存していた。大網には強い特有の修復再生能があり、この大網を用いた方法は治癒力の低下した高齢患者においても急速な治癒を期待できる方法と思われ、また臨床応用即可能であると考えられる。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.21.1227