胃重複症の1例

症例は37歳男性.主訴は特に.健康診断での胃内視鏡検査にて,胃体上部小彎前壁に隆起性病変を指摘され精査目的にて来院した.上部消化管造影検査にて噴門部小彎前壁に陰影欠損, CT, EUSにて胃壁外性の嚢胞性病変を認めた.胃粘膜下腫瘍の診断で手術を施行した.胃噴門部前壁と体中部前壁の2箇所に腫瘤を認め,核出術を施行した.噴門部,体中部前壁の嚢胞壁は,内腔より粘膜,粘膜筋板,粘膜下層,固有筋層と構成されており,胃重複症と診断した.胃重複症など消化管重複症は舌根から肛門にいたる全消化管に発生する先天性疾患である.特徴的な臨床症状,画像所見を有さないことより術前診断が困難であるが,画像診断の進歩によりこ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 2; pp. 368 - 372
Main Authors 川端, 康次, 早川, 直和, 國料, 俊男, 村山, 明子, 山本, 英夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.02.2000
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.368

Cover

More Information
Summary:症例は37歳男性.主訴は特に.健康診断での胃内視鏡検査にて,胃体上部小彎前壁に隆起性病変を指摘され精査目的にて来院した.上部消化管造影検査にて噴門部小彎前壁に陰影欠損, CT, EUSにて胃壁外性の嚢胞性病変を認めた.胃粘膜下腫瘍の診断で手術を施行した.胃噴門部前壁と体中部前壁の2箇所に腫瘤を認め,核出術を施行した.噴門部,体中部前壁の嚢胞壁は,内腔より粘膜,粘膜筋板,粘膜下層,固有筋層と構成されており,胃重複症と診断した.胃重複症など消化管重複症は舌根から肛門にいたる全消化管に発生する先天性疾患である.特徴的な臨床症状,画像所見を有さないことより術前診断が困難であるが,画像診断の進歩によりこのような症例の増加が予想される.胃重複症は稀ではあるが,胃粘膜下腫瘍の鑑別すべき疾患の1つとして念頭におくことが必要と思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.368