腹部鈍的外傷による胃破裂の1例

腹部鈍的外傷による腸管損傷では小腸の頻度が高く,胃の損傷は稀である.今回,腹部鈍的外傷による胃破裂の1例を経験したので報告する.症例は62歳の男性.夕食の約2時間後に自動車運転中,自動車同士の衝突事故で受傷した.シートベルトを装着していた.来院時,腹痛を認めたが,腹膜刺激症状はなく,腹部CTで異常を認めなかった.右大腿部に最も強い痛みを認め,頭部打撲,顔面挫創,胸部打撲,腹部打撲,右股関節脱臼骨折の診断で入院した.翌日も心窩部中心に腹痛が持続した. Blumberg徴候を認めたが筋性防御はなかった.翌日の腹部CT検査で腹腔内遊離ガス像があり,腸管破裂の診断で手術を行った.胃角部小彎後壁に約1c...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 4; pp. 936 - 939
Main Authors 二村, 直樹, 廣田, 俊夫, 市橋, 正嘉, 多羅尾, 信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.04.2000
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.936

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Summary:腹部鈍的外傷による腸管損傷では小腸の頻度が高く,胃の損傷は稀である.今回,腹部鈍的外傷による胃破裂の1例を経験したので報告する.症例は62歳の男性.夕食の約2時間後に自動車運転中,自動車同士の衝突事故で受傷した.シートベルトを装着していた.来院時,腹痛を認めたが,腹膜刺激症状はなく,腹部CTで異常を認めなかった.右大腿部に最も強い痛みを認め,頭部打撲,顔面挫創,胸部打撲,腹部打撲,右股関節脱臼骨折の診断で入院した.翌日も心窩部中心に腹痛が持続した. Blumberg徴候を認めたが筋性防御はなかった.翌日の腹部CT検査で腹腔内遊離ガス像があり,腸管破裂の診断で手術を行った.胃角部小彎後壁に約1cm大の破裂を認めた.その他の臓器に損傷は認めなかった.損傷部を縫合し,大網で被覆した.術後に創感染を認めたが軽快し,右股関節臼骨折の治療のために整形外科へ転科した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.936