左鼠径ヘルニアに続発した大網捻転症の1例

われわれは,左鼠径ヘルニアに続発した大網捻転症の1例を経験したので報告する. 症例は33歳男性.数カ月前より左鼠径部の膨隆に気づいていたが,同部位に痛みが出現し,発熱を伴ったため,当科を受診した.諸検査の結果,左鼠径ヘルニア嵌頓と診断し,緊急手術を施行した. ヘルニア内容は壊死に陥った大網で,壊死部は腹腔内に及んでいたため,下腹部正中切開を追加した.開腹所見では,大網が内鼠径輪付近に癒着し,胃付着部付近で720度捻転し,その末梢が壊死に陥っていた. 手術は壊死に陥った大網切除および,ヘルニア修復術を施行した.病理組織学的所見は大網の著明な鬱血と,所々の出血を認めたが腫瘍などの所見は認められなか...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 1; pp. 190 - 192
Main Authors 安川, 十郎, 内藤, 彰彦, 金泉, 年郁, 中野, 博重, 上野, 正義, 八木, 正躬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.01.2000
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.190

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Summary:われわれは,左鼠径ヘルニアに続発した大網捻転症の1例を経験したので報告する. 症例は33歳男性.数カ月前より左鼠径部の膨隆に気づいていたが,同部位に痛みが出現し,発熱を伴ったため,当科を受診した.諸検査の結果,左鼠径ヘルニア嵌頓と診断し,緊急手術を施行した. ヘルニア内容は壊死に陥った大網で,壊死部は腹腔内に及んでいたため,下腹部正中切開を追加した.開腹所見では,大網が内鼠径輪付近に癒着し,胃付着部付近で720度捻転し,その末梢が壊死に陥っていた. 手術は壊死に陥った大網切除および,ヘルニア修復術を施行した.病理組織学的所見は大網の著明な鬱血と,所々の出血を認めたが腫瘍などの所見は認められなかった. 経過良好にて,術後11日目に退院した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.190