肝腫瘍との鑑別診断に苦慮した腹腔内遊離体の1例

右横隔膜下腔に迷入したため肝腫瘍との鑑別に苦慮した腹腔内遊離体の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告した.症例は68歳,男性.交通外傷で当科へ入院した.入院時の腹部CTで肝腫瘍が疑われたため,症状の改善の後各種画像診断を施行した.しかし確定診断には至らず,肝悪性病変を否定できないため手術を行った.肝後上区域に薄い偽膜に覆われ肝内に埋没する形で約2cmの腫瘤を認め容易に摘出された.肉眼的所見および病理組織学的検査から腹腔内遊離体と診断された. 腹腔内遊離体は臨床的には稀ならず経験するものであるが,文字どおりそのほとんどが腹腔内に遊離状態で認められる.しかし本症例のように肝腫瘍との鑑別を要し...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 2; pp. 454 - 458
Main Authors 木村, 良直, 佐藤, 隆次, 加藤, 栄一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.02.1998
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.59.454

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Summary:右横隔膜下腔に迷入したため肝腫瘍との鑑別に苦慮した腹腔内遊離体の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告した.症例は68歳,男性.交通外傷で当科へ入院した.入院時の腹部CTで肝腫瘍が疑われたため,症状の改善の後各種画像診断を施行した.しかし確定診断には至らず,肝悪性病変を否定できないため手術を行った.肝後上区域に薄い偽膜に覆われ肝内に埋没する形で約2cmの腫瘤を認め容易に摘出された.肉眼的所見および病理組織学的検査から腹腔内遊離体と診断された. 腹腔内遊離体は臨床的には稀ならず経験するものであるが,文字どおりそのほとんどが腹腔内に遊離状態で認められる.しかし本症例のように肝腫瘍との鑑別を要した腹腔内遊離体の本邦での報告例は,われわれが調べた限りではなかった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.454