穿孔性虫垂炎にて発症した盲腸癌の2例

今回われわれは,穿孔性虫垂炎にて発症し,術後に診断された1例と術前に確定診断しえた1例の盲腸癌の2例を経験したので報告する.症例1は, 61歳,男性.発熱,下痢,腹痛を主訴に当院受診.腹腔全般に腹水を認め,腹腔試験穿刺にて膿汁を認めた.汎発性腹膜炎の診断にて緊急開腹したところ,多量の膿性腹水と虫垂の穿孔を認め,回盲部が腫瘤状に一塊となっていたため,回盲部切除を施行した.病理組織診断は,中分化腺癌であった.症例2は, 68歳,男性.発熱,腹痛を主訴に当科を受診. CT上,穿孔性虫垂炎による腹腔内膿瘍と診断したが,回盲部に腫瘤を認めたため,保存的治療を優先した.炎症消退後の大腸内視鏡にて虫垂根部を...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 4; pp. 821 - 824
Main Authors 豊沢, 忠, 野島, 広之, 高橋, 誠, 小笠原, 猛, 柴田, 陽一, 大塚, 恭寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.04.2006
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.821

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Summary:今回われわれは,穿孔性虫垂炎にて発症し,術後に診断された1例と術前に確定診断しえた1例の盲腸癌の2例を経験したので報告する.症例1は, 61歳,男性.発熱,下痢,腹痛を主訴に当院受診.腹腔全般に腹水を認め,腹腔試験穿刺にて膿汁を認めた.汎発性腹膜炎の診断にて緊急開腹したところ,多量の膿性腹水と虫垂の穿孔を認め,回盲部が腫瘤状に一塊となっていたため,回盲部切除を施行した.病理組織診断は,中分化腺癌であった.症例2は, 68歳,男性.発熱,腹痛を主訴に当科を受診. CT上,穿孔性虫垂炎による腹腔内膿瘍と診断したが,回盲部に腫瘤を認めたため,保存的治療を優先した.炎症消退後の大腸内視鏡にて虫垂根部を閉塞する形の腫瘤を認め,病理組織診断は,中分化腺癌であった.手術所見は,腫大した虫垂,陳旧性膿瘍,回盲部腫瘤を認め,結腸右半切除およびD3郭清を施行した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.821