開心術後胸腔ドレーン血再利用の可能性

最近行った開心術のうち14症例に対し, ドレーン貯留血の性状を検討した。術後回復室へ収容後2-4時間の貯留血の性状を6例(Group A)に対し検討し, 他の8例(Group B)は術後17-20時間の貯留血の性状を検討した。Group Bに対して行った貯留血中の細菌培養では全てが陰性であった。Group A, BともHt値, 血清タンパク値は十分に保たれ再利用は可能と考えられた。貯留血の血小板は, Group A, Bとも正常範囲内にあるがプロトロンビン時間, トロンビン時間, フィブリノーゲン, ACT値などの凝固系は低下しており, 抗凝固剤を用いないでも心嚢内でのdefibrinogen...

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Published in人工臓器 Vol. 17; no. 3; pp. 1385 - 1387
Main Authors 久富, 光一, 大野, 兼市, 青柳, 成明, 小須賀, 健一, 磯村, 正, 山下, 正康, 赤川, 治夫, 諌本, 義雄, 島, 弘志, 西義, 勝, 平野, 顕夫, 大石, 喜六
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1988
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.17.1385

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Summary:最近行った開心術のうち14症例に対し, ドレーン貯留血の性状を検討した。術後回復室へ収容後2-4時間の貯留血の性状を6例(Group A)に対し検討し, 他の8例(Group B)は術後17-20時間の貯留血の性状を検討した。Group Bに対して行った貯留血中の細菌培養では全てが陰性であった。Group A, BともHt値, 血清タンパク値は十分に保たれ再利用は可能と考えられた。貯留血の血小板は, Group A, Bとも正常範囲内にあるがプロトロンビン時間, トロンビン時間, フィブリノーゲン, ACT値などの凝固系は低下しており, 抗凝固剤を用いないでも心嚢内でのdefibrinogenationが十分おこっているものと推測された。今回の検討により, ドレーン血の術後の返血は臨床的に可能性のあるものと考えられ, 術前自家血採血, 術中自家血返血とともに用いれば, 無血体外循環の適応症例の拡大, 出血による再開胸時の血液製剤の節減に有用であると思われた。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.17.1385