急性肝不全に対する血液浄化療法の血清オプソニン活性への影響

血漿交換による血液浄化療法が、急性肝不全症例のオプソニン活性、液性因子にあたえる影響について検討した。血清オプソニン活性は多核白血球が貧食時に発するchemiluminescenceを利用して、正常人対照血清と肝不全患者血清でオプソニン化したzymozan貧食時の発光のピーク値を比較測定して算出した。急性肝不全症例では血清オプソニン活性の低下しており、新鮮凍結血漿を用いた血漿交換後には前値の65.0±23.1から74.6±25.4に改善された(p<0.05)。また、血清補体価CH50と血漿フィプロネクチンも有意に上昇した。一方、免疫グロブリンIgG、IgA、IgMはそれぞれ血漿交換後に低...

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Published in人工臓器 Vol. 18; no. 3; pp. 1290 - 1293
Main Authors 松原, 修二, 大内, 清昭, 岡部, 健二, 田辺, 淳, 松野, 正紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1989
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.18.1290

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Summary:血漿交換による血液浄化療法が、急性肝不全症例のオプソニン活性、液性因子にあたえる影響について検討した。血清オプソニン活性は多核白血球が貧食時に発するchemiluminescenceを利用して、正常人対照血清と肝不全患者血清でオプソニン化したzymozan貧食時の発光のピーク値を比較測定して算出した。急性肝不全症例では血清オプソニン活性の低下しており、新鮮凍結血漿を用いた血漿交換後には前値の65.0±23.1から74.6±25.4に改善された(p<0.05)。また、血清補体価CH50と血漿フィプロネクチンも有意に上昇した。一方、免疫グロブリンIgG、IgA、IgMはそれぞれ血漿交換後に低下したが、施行後でも正常範囲にとどまっていた。血漿交換は網内系機能に密接に関連したオプソニン活性を改善し、肝不全症例の感染に対する生体防御機構の補助療法としても有用であると考えられた。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.18.1290