肝細胞癌に特異なγ-glutamyl transpeptidase isozymeの臨床病理学的研究

肝細胞癌患者血清およびその組織の7.5%ポリアクリルアミドディスク電気泳動法で,α1-globulin位に泳動する肝細胞癌に特異なγ-GTP isozyme(肝細胞癌特異γ-GTP)について,肝細胞癌132例を中心に臨床病理学的意義を検討した.肝細胞癌特異γ-GTPは132例中67例(51%)に陽性であったが,他の肝胆道疾患ではこのisozymeはほとんど検出されなかった.さらにα-フェトプロテインが400ng/ml以下と低値の30例中12例(40%)においてもこのisozymeが検出されたことより,肝細胞癌特異γ-GTPは臨床的に肝細胞癌の診断に有用な腫瘍マーカーとなり得ることが示唆された....

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Published in肝臓 Vol. 28; no. 2; pp. 181 - 190
Main Author 川瀬, 治通
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1987
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.28.181

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Summary:肝細胞癌患者血清およびその組織の7.5%ポリアクリルアミドディスク電気泳動法で,α1-globulin位に泳動する肝細胞癌に特異なγ-GTP isozyme(肝細胞癌特異γ-GTP)について,肝細胞癌132例を中心に臨床病理学的意義を検討した.肝細胞癌特異γ-GTPは132例中67例(51%)に陽性であったが,他の肝胆道疾患ではこのisozymeはほとんど検出されなかった.さらにα-フェトプロテインが400ng/ml以下と低値の30例中12例(40%)においてもこのisozymeが検出されたことより,肝細胞癌特異γ-GTPは臨床的に肝細胞癌の診断に有用な腫瘍マーカーとなり得ることが示唆された.病理学的にはEdmondson分類のII型,III型の肝細胞癌にこのisozymeの検出率が高く,抗家兎肝細胞癌特異γ-GTP抗血清を用いた蛍光抗体間接法でも,γ-GTP染色に一致して腫瘍の胞体内あるいは細胞膜に強い蛍光を認め,腫瘍マーカーとしての意義が形態学的な面からも証明された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.28.181