人の健康保護を考えた自主管理のための環境管理参考濃度の提案とPRTR対象物質への適用
環境基準値等が定められていない多くの化学物質について自主管理を進めるために,生涯曝露されても人の健康に対して悪影響を与えないと推定される大気及び水環境中の濃度を「大気管理参考濃度」および「水域管理参考濃度」と定義し,これらを算出するための長期毒性情報の収集・整理および各毒性情報からの管理参考濃度の算出方法の検討を行った。管理参考濃度の設定には,できるだけ信頼性の高い情報を用いることが重要であるため,国際機関や日米の政府機関,または信頼できる専門家機関等による情報のみを用いることとし,情報源の信頼性などに基づいて,利用する情報の優先順位を定めた。次に,収集した様々な毒性値および物性値から管理参考...
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| Published in | 環境科学会誌 Vol. 18; no. 2; pp. 71 - 83 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
社団法人 環境科学会
2005
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| Subjects | |
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| ISSN | 0915-0048 1884-5029 |
| DOI | 10.11353/sesj1988.18.71 |
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| Summary: | 環境基準値等が定められていない多くの化学物質について自主管理を進めるために,生涯曝露されても人の健康に対して悪影響を与えないと推定される大気及び水環境中の濃度を「大気管理参考濃度」および「水域管理参考濃度」と定義し,これらを算出するための長期毒性情報の収集・整理および各毒性情報からの管理参考濃度の算出方法の検討を行った。管理参考濃度の設定には,できるだけ信頼性の高い情報を用いることが重要であるため,国際機関や日米の政府機関,または信頼できる専門家機関等による情報のみを用いることとし,情報源の信頼性などに基づいて,利用する情報の優先順位を定めた。次に,収集した様々な毒性値および物性値から管理参考濃度を算出するための計算式や必要な値を検討して決定した。また,一部の物質については,水経由の摂取割合を設定する必要があったので,物質固有の定数から簡易に水経由摂取割合を設定する方法を提案した。以上により,環境中の濃度が人の健康に悪影響を与えるレベルか否かの判断を行ったり,事業者や地方自治体等が自主的に管理の目標値を定めたりする際に有用な,大気および水域の管理参考濃度が容易に算出できるようになった。 さらに,本方法をPRTR対象物質に適用し,大気管理参考濃度および水域管理参考濃度を算出してその分布等を考察した。この値と排出量情報を合わせて利用することで,各地域や各事業所での排出量の削減の優先度の判定が可能になる。 |
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| ISSN: | 0915-0048 1884-5029 |
| DOI: | 10.11353/sesj1988.18.71 |