多発転移を伴った小児甲状腺癌の1例

小児甲状腺癌はまれな疾患だが, 乳頭腺癌がほとんどで予後良好の場合が多い.今回われわれは初診時, 肺および頸部リンパ節への多発転移を認めた小児甲状腺癌の1例を経験したので報告する.症例は10歳女児で, 1999年2月喘鳴と呼吸困難にて近医を受診した.その際, 胸部X線にて両側肺に多発結節状陰影を認め, 多数の頸部リンパ節腫脹を指摘されたが, 原発巣不明のため当科に紹介された.頸部リンパ節生検にて甲状腺癌 (乳頭腺癌) と診断した.化学療法が無効であったため, 甲状腺およびリンパ節摘出後に131I療法を行った.現在, 画像上は肺病変は縮小せず, 血中サイログロブリン濃度もあまり低下していない.1...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 14; no. 6; pp. 394 - 397
Main Authors 森永, 信吾, 山下, 弘幸, 吉本, 寿美, 請園, なぎさ, 足立, 尚登, 橋山, 元浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 31.12.2000
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.14.394

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Summary:小児甲状腺癌はまれな疾患だが, 乳頭腺癌がほとんどで予後良好の場合が多い.今回われわれは初診時, 肺および頸部リンパ節への多発転移を認めた小児甲状腺癌の1例を経験したので報告する.症例は10歳女児で, 1999年2月喘鳴と呼吸困難にて近医を受診した.その際, 胸部X線にて両側肺に多発結節状陰影を認め, 多数の頸部リンパ節腫脹を指摘されたが, 原発巣不明のため当科に紹介された.頸部リンパ節生検にて甲状腺癌 (乳頭腺癌) と診断した.化学療法が無効であったため, 甲状腺およびリンパ節摘出後に131I療法を行った.現在, 画像上は肺病変は縮小せず, 血中サイログロブリン濃度もあまり低下していない.131I療法は乳頭腺癌のような分化型癌には有効な場合が多いが, 本症例ではあまり効果がなかった.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.14.394