小児急性白血病, 悪性リンパ腫に対する同種末梢血幹細胞移植

4例の小児急性白血病, 悪性リンパ腫症例に対し, 計5回の同種末梢血幹細胞移植を施行した.ドナーはHLA一致同胞で, 末梢血幹細胞採取のためドナーに5-10μg/kgのG-CSFを5日間投与し, 5, 6日目にapheresisを行った.G-CSF投与, apheresisに伴う重篤な副作用はみられなかった.移植前処置後, 患児にCFU-GMとして2.7×105/kg (中央値) の同種末梢血幹細胞を輸注した.移植後15日で好中球数500/μ1, 14日で血小板数2万/μ1に達し (いずれも中央値), PHA, ConA刺激に対するリンパ球幼弱化試験は1カ月後には正常値を示した.同種末梢血幹細...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 11; no. 5; pp. 356 - 362
Main Authors 甲斐, 純夫, 松田, 基, 松山, 秀介, 関口, 晴之, 渡辺, 由佳, 後藤, 裕明, 後藤, 晶子, 半沢, 典生, 船曳, 哲典, 生田, 孝一郎, 佐々木, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 31.10.1997
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.11.356

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Summary:4例の小児急性白血病, 悪性リンパ腫症例に対し, 計5回の同種末梢血幹細胞移植を施行した.ドナーはHLA一致同胞で, 末梢血幹細胞採取のためドナーに5-10μg/kgのG-CSFを5日間投与し, 5, 6日目にapheresisを行った.G-CSF投与, apheresisに伴う重篤な副作用はみられなかった.移植前処置後, 患児にCFU-GMとして2.7×105/kg (中央値) の同種末梢血幹細胞を輸注した.移植後15日で好中球数500/μ1, 14日で血小板数2万/μ1に達し (いずれも中央値), PHA, ConA刺激に対するリンパ球幼弱化試験は1カ月後には正常値を示した.同種末梢血幹細胞を施行した4例は全例原疾患の再発なく生存中である (移植後48-259日).同種末梢血幹細胞の採取は安全に施行可能であり, 移植後の生着, 細胞性免疫機能の回復は速やかであった.しかし, 4例中2例に慢性GVHDがみられ, 自験例の同種BMTよりも慢性GVHDの発症頻度が高かった.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.11.356