FDG-PET陰性であった3cm大肺腺癌の1例

患者は50歳の女性.村の胸部CT検診で,左肺の異常陰影を指摘され精査となった.高分解能CTでは,左下葉S6領域肺野末梢部に葉間に接して,輪郭不鮮明,微細棘状,内部不均一で混合濃度,胸膜陥入のある最大径3cm大の腫瘤影を認めた.他に対側右上葉・中葉肺野末梢部に散在性小結節影と気管分岐部リンパ節の軽度腫大を認めたことから,病期診断目的でFDG-PET (positron emission tomographic scan using 2-fluoro [18F]-2-deoxy-d-glucose) を施行した.いずれにも強いFDG集積を認めず, CT上の腫瘤検出部位は, SUV (standar...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 1; pp. 45 - 49
Main Authors 佐藤, 敏行, 金谷, 洋, 花岡, 孝臣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.01.2006
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.45

Cover

More Information
Summary:患者は50歳の女性.村の胸部CT検診で,左肺の異常陰影を指摘され精査となった.高分解能CTでは,左下葉S6領域肺野末梢部に葉間に接して,輪郭不鮮明,微細棘状,内部不均一で混合濃度,胸膜陥入のある最大径3cm大の腫瘤影を認めた.他に対側右上葉・中葉肺野末梢部に散在性小結節影と気管分岐部リンパ節の軽度腫大を認めたことから,病期診断目的でFDG-PET (positron emission tomographic scan using 2-fluoro [18F]-2-deoxy-d-glucose) を施行した.いずれにも強いFDG集積を認めず, CT上の腫瘤検出部位は, SUV (standardized uptake value) max 2.3 (delay 1.9) と極めて淡く,遅延像で集積が低下するパターンで,悪性腫瘍や肺門縦隔リンパ節転移や遠隔転移を疑う異常集積は指摘できなかった. CT所見から肺癌を強く疑い,手術(左下葉切除+ND2a) を施行した.最終病理診断は混合型腺癌, p-T1N0M0, p-stage IAであった.胸部CT検診発見肺癌の多数を占めるc-stage IA肺腺癌では, CT上3cmと大きく充実性陰影を示してもFDG-PETによる良悪識別において偽陰性を示す場合があり, PET診断の解釈には注意を要する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.45