僧帽弁置換術後左室破裂症例の検討とその対策

1979年より施行した僧帽弁置換術216例のうち発症した左室破裂4例 (MS 3例, MR 1例), 1.9%を報告する. さらに救命しえた最近の2例の経験から対策を検討した. 手術は全例SJM弁で置換した. 左室破裂は, 1例は手術中, 他の3例はICU帰室後約40~90分後に発症した. 破裂部位は Treasure 分類I型が2例, II型が2例であった. 破裂修復は, 全例, 体外循環, 心停止下に行った. 1例は破裂部を心外膜側より縫合し, 止血に成功したが, MOFで死亡した. 他の3例は, 弁をはずし, 破裂部を心内膜側より縫合止血を行った. 直接縫合の1例は止血できず, 台上死し...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 21; no. 1; pp. 62 - 67
Main Authors 楠原, 健嗣, 三木, 成仁, 大北, 裕, 田畑, 隆文, 上田, 裕一, 山中, 一朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 1992
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.21.62

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Summary:1979年より施行した僧帽弁置換術216例のうち発症した左室破裂4例 (MS 3例, MR 1例), 1.9%を報告する. さらに救命しえた最近の2例の経験から対策を検討した. 手術は全例SJM弁で置換した. 左室破裂は, 1例は手術中, 他の3例はICU帰室後約40~90分後に発症した. 破裂部位は Treasure 分類I型が2例, II型が2例であった. 破裂修復は, 全例, 体外循環, 心停止下に行った. 1例は破裂部を心外膜側より縫合し, 止血に成功したが, MOFで死亡した. 他の3例は, 弁をはずし, 破裂部を心内膜側より縫合止血を行った. 直接縫合の1例は止血できず, 台上死したが, 他の2例は破裂部を心内膜側より心膜パッチにて閉鎖し, さらに心外膜側からも心膜パッチにて覆い, 止血に成功した. 左室破裂に対する術式としてこの方法が有効であり, 推奨できるものと考える. さらにICUでの発症が多いことから, ICUでの緊急手術態勢が重要である.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.21.62