腸腰筋出血に対し早期に血腫除去術を施行した軽症血友病の1例
血友病患者の筋肉内出血は保存的療法で軽快することが多い.われわれは月剔要筋出血に対し血腫除去を施行した軽症血友病の1例を経験した.症例は左鼠径部痛を主訴に来院.左下肢は腸腰筋肢位を呈し, 左大腿前面および外側の知覚鈍麻を認めた.CTにて左骨盤腔内に出血を認め, 左腸腰筋血腫による左大腿神経および左外側大腿皮神経の麻痺と診断した.安静, 鎮痛剤, 凝固因子補充による保存的療法を選択したが, 疼痛コントロール不良で麻痺症状の改善は得られず, 発症6日目に血腫除去術を施行した.術当日より左鼠径部痛は著明に減少し, 術後8日目に退院した.術後約2カ月で神経症状は正常化している.腸腰筋出血は神経症状を伴...
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          | Published in | 日本小児血液学会雑誌 Vol. 19; no. 3; pp. 141 - 145 | 
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| Main Authors | , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
    
        30.06.2005
     | 
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| ISSN | 0913-8706 1884-4723  | 
| DOI | 10.11412/jjph1987.19.141 | 
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| Summary: | 血友病患者の筋肉内出血は保存的療法で軽快することが多い.われわれは月剔要筋出血に対し血腫除去を施行した軽症血友病の1例を経験した.症例は左鼠径部痛を主訴に来院.左下肢は腸腰筋肢位を呈し, 左大腿前面および外側の知覚鈍麻を認めた.CTにて左骨盤腔内に出血を認め, 左腸腰筋血腫による左大腿神経および左外側大腿皮神経の麻痺と診断した.安静, 鎮痛剤, 凝固因子補充による保存的療法を選択したが, 疼痛コントロール不良で麻痺症状の改善は得られず, 発症6日目に血腫除去術を施行した.術当日より左鼠径部痛は著明に減少し, 術後8日目に退院した.術後約2カ月で神経症状は正常化している.腸腰筋出血は神経症状を伴うことが多く, 解剖学的特殊性を認識する必要がある.腸腰筋出血は軽症から中等症にも比較的多いとの報告がある.保存的治療に反応しない場合, 神経組織の不可逆的変化を回避するために, 早急に外科的治療を考慮すべきであると思われた. | 
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| ISSN: | 0913-8706 1884-4723  | 
| DOI: | 10.11412/jjph1987.19.141 |