慢性関節リウマチの経過中に発症した好酸球性髄膜脳炎

症例は56歳男性. 11年前発症の慢性関節リウマチに対してPrednisolone 10mg/日の内服治療中であったが,約3日間の経過で徐々に意識レベルの低下をきたして入院した.髄液は黄色に混濁しており,好酸球が著増していた.末梢血の好酸球も遅れて増加し,不隠状態に進展した.寄生虫感染,中でも広東住血線虫感染も疑われたが,髄液中にも虫体を検出し得ず,免疫学的診断にても同定できなかった. MPO-ANCAが陽性であり,既知のMPO-ANCA関連疾患は否定的ではあったが,何らかの血管炎の関与が考えられたため, Methylprednisoloneパルス療法を含むステロイド治療を行ったところ,症状は...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 21; no. 5; pp. 198 - 205
Main Authors 本村, 正治, 酒井, 由美子, 小柳, 三由紀, 樋口, 雅則, 津田, 泰夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 31.12.1998
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.21.198

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Summary:症例は56歳男性. 11年前発症の慢性関節リウマチに対してPrednisolone 10mg/日の内服治療中であったが,約3日間の経過で徐々に意識レベルの低下をきたして入院した.髄液は黄色に混濁しており,好酸球が著増していた.末梢血の好酸球も遅れて増加し,不隠状態に進展した.寄生虫感染,中でも広東住血線虫感染も疑われたが,髄液中にも虫体を検出し得ず,免疫学的診断にても同定できなかった. MPO-ANCAが陽性であり,既知のMPO-ANCA関連疾患は否定的ではあったが,何らかの血管炎の関与が考えられたため, Methylprednisoloneパルス療法を含むステロイド治療を行ったところ,症状は回復し,髄液所見も次第に軽快した.自己免疫学的機序による血管炎が病因として強く示唆された.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.21.198