腎機能低下症例の体外循環症例と非体外循環症例の比較検討について

1987年4月から1990年3月までの3年間の体外循環を用いた体外循環症例90例 (平均年齢51.8歳) と非体外循環症例 (腹部大動脈瘤および閉塞性動脈硬化症) 29例 (平均年齢58.1歳) のうち, 術前より腎機能低下を伴っていた症例について, 手術成績, 術後合併症等について比較検討した. 術前腎機能低下は血清クレアチニン値を1.4mg/dl以上また術後腎機能低下症例は血清クレアチニン値を2.0mg/dl以上の症例とした. 結果: 1) 両群の急性期死亡率について, 有意差はなかった. 2) 腎機能低下および人工透析による合併症が, 直接の死因となった症例はなかった. 3) 両群間では...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 23; no. 1; pp. 21 - 27
Main Authors 林, 信成, 田所, 雅克, 大滝, 章男, 小久保, 純, 柳沢, 肇, 須藤, 憲一, 水野, 明, 小石沢, 正, 池田, 晃治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 1994
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.23.21

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Summary:1987年4月から1990年3月までの3年間の体外循環を用いた体外循環症例90例 (平均年齢51.8歳) と非体外循環症例 (腹部大動脈瘤および閉塞性動脈硬化症) 29例 (平均年齢58.1歳) のうち, 術前より腎機能低下を伴っていた症例について, 手術成績, 術後合併症等について比較検討した. 術前腎機能低下は血清クレアチニン値を1.4mg/dl以上また術後腎機能低下症例は血清クレアチニン値を2.0mg/dl以上の症例とした. 結果: 1) 両群の急性期死亡率について, 有意差はなかった. 2) 腎機能低下および人工透析による合併症が, 直接の死因となった症例はなかった. 3) 両群間では, 術前後の腎機能不全の程度, 人工透析の効果には, 有意差はなかった. 4) 腎機能低下例に対して術中術後の人工透析療法を行うことにより積極的に手術適応を決めることが可能であると考えられた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.23.21