脱血量の正確で容易な制御を目的とした脱血量調整装置の試作と特性の検討

体外循環からの離脱の際, 脱血量の調節を鉗子や閉塞装置により行う. しかし, 脱血管が管状のため閉塞する程度と流量は直線的関係ではなく, 低流量での微妙な調節は困難であり, 的確な操作には経験が必要である. われわれは鉗子で挟む長さと比例して連続的に脱血量が変化することを目的とした扁平チューブからなる脱血量調整装置を考案した. まず, 1) その効果を模擬循環回路で検討した. 本装置の扁平部分を徐々に挟んでいくことにより開口度を段階的に調節したところ, 実用範囲内で流入圧に影響されず開口度と本装置の抵抗の逆数との問には強い相関を認め, 開口度と流量比はほぼ正比例関係であった. 次に, 2) ブ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in人工臓器 Vol. 25; no. 2; pp. 355 - 360
Main Authors 坂東, 道哉, 不破, 誠行, 広瀬, 一, 熊田, 佳孝, 高木, 寿人, 村川, 真司, 古沢, 泰伸, 佐々木, 栄作
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.04.1996
Online AccessGet full text
ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.25.355

Cover

More Information
Summary:体外循環からの離脱の際, 脱血量の調節を鉗子や閉塞装置により行う. しかし, 脱血管が管状のため閉塞する程度と流量は直線的関係ではなく, 低流量での微妙な調節は困難であり, 的確な操作には経験が必要である. われわれは鉗子で挟む長さと比例して連続的に脱血量が変化することを目的とした扁平チューブからなる脱血量調整装置を考案した. まず, 1) その効果を模擬循環回路で検討した. 本装置の扁平部分を徐々に挟んでいくことにより開口度を段階的に調節したところ, 実用範囲内で流入圧に影響されず開口度と本装置の抵抗の逆数との問には強い相関を認め, 開口度と流量比はほぼ正比例関係であった. 次に, 2) ブタを用いて, 体外循環を行い, 本装置の有効性を検討した. 開口幅と脱血量はほぼ正比例関係で, 開口幅により脱血量を比例制御的に調節できた. この脱血量調整装置は構造が簡単で, 最大流量に適したサイズを選択すれば, 脱血量の正確な制御が容易で設定状況の視認性に優れ, 安全と思われた.
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.25.355