上腸間膜症候群が誘因と考えられた特発性食道破裂の1例

症例は16歳, 男性. 嘔吐を主訴に近医を受診し, 血液検査の結果で急性循環不全および急性腎不全と診断され, 当院へ搬送転院となった. 胸部単純X線において頸部から前胸部に及ぶ皮下気腫を認め, 腹部単純X線では胃および十二指腸球部の顕著な拡張像を示した. 胸部CT検査では前胸部の皮下気腫と縦隔気腫を認め, また腹部CT検査にて十二指腸内および胃の拡張像と鏡面形成像を認め, 広義のdouble bubble signを示した. 上部消化管内視鏡検査にて胸部中部食道から下部食道左壁に長径3cmの裂創を認めた. また, 上部消化管X線造影検査では, 十二指腸水平脚の拡張と途絶像を示した. 以上から上...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 24; no. 4; pp. 805 - 809
Main Authors 木勢, 佳史, 劔持, 孝弘, 千野, 修, 生越, 喬二, 田島, 隆行, 田仲, 曜, 幕内, 博康, 島田, 英雄, 西, 隆之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2004
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem1993.24.805

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Summary:症例は16歳, 男性. 嘔吐を主訴に近医を受診し, 血液検査の結果で急性循環不全および急性腎不全と診断され, 当院へ搬送転院となった. 胸部単純X線において頸部から前胸部に及ぶ皮下気腫を認め, 腹部単純X線では胃および十二指腸球部の顕著な拡張像を示した. 胸部CT検査では前胸部の皮下気腫と縦隔気腫を認め, また腹部CT検査にて十二指腸内および胃の拡張像と鏡面形成像を認め, 広義のdouble bubble signを示した. 上部消化管内視鏡検査にて胸部中部食道から下部食道左壁に長径3cmの裂創を認めた. また, 上部消化管X線造影検査では, 十二指腸水平脚の拡張と途絶像を示した. 以上から上腸間膜動脈症候群が誘因と考えられた縦隔内限局型食道破裂と診断した. 保存的治療にて改善を得た1例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.24.805