抗血小板抗体と血小板減少を認めたC型慢性肝炎のインターフェロンα投与症例

症例は61歳女性. C型慢性肝炎に対し1993年4月27日よりIFNα-2 b 1,000万単位14日間連日投与後週3日の隔日投与のスケジュールで治療が行われた.開始4週後の5月24日に口腔内出血が出現.血小板数が1.8万/μlと低下を認めメチルプレドニゾロン250mgの投与と血小板20単位の輸注を計3回行ったが, 5月28日と6月3日には血小板数が0.4万/μlまで低下した. 6月4日の当科入院時, PA-IgGが808.3ng/107 PACと著明に上昇し骨髄穿刺所見で巨核球産生の低下を認めた.しかし血小板数はすでに3.7万/μlに回復し始め,以後は無治療のままでもPA-IgGの低下に伴い...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 19; no. 2; pp. 150 - 156
Main Authors 石橋, 大海, 梅野, 守男, 田中, 洋輔, 林田, 一洋, 池松, 渉, 仁保, 善之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 30.04.1996
Online AccessGet full text
ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.19.150

Cover

More Information
Summary:症例は61歳女性. C型慢性肝炎に対し1993年4月27日よりIFNα-2 b 1,000万単位14日間連日投与後週3日の隔日投与のスケジュールで治療が行われた.開始4週後の5月24日に口腔内出血が出現.血小板数が1.8万/μlと低下を認めメチルプレドニゾロン250mgの投与と血小板20単位の輸注を計3回行ったが, 5月28日と6月3日には血小板数が0.4万/μlまで低下した. 6月4日の当科入院時, PA-IgGが808.3ng/107 PACと著明に上昇し骨髄穿刺所見で巨核球産生の低下を認めた.しかし血小板数はすでに3.7万/μlに回復し始め,以後は無治療のままでもPA-IgGの低下に伴い血小板数も正常化した. 本症例ではIFN投与前の免疫学的異常としてIgG高値,抗核抗体陽性,抗平滑筋抗体陽性を認めたが特に自己免疫性疾患を示す症状は認めなかった.またインターフェロン投与により肝機能検査の正常化やIgG値の低下および抗核抗体の陰性化を認め免疫学的異常は軽減した.しかし抗血小板抗体が陽性化し,治療中止後減少していたことが確認された.本症例はインターフェロン投与により抗血小板抗体のみが特異的に誘導されPA-IgGが異常高値となったことに加え,骨髄の産生レベルの低下も引き起こした可能性が考えられた.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.19.150