短腸症候群に対して栄養管理が効を奏した1例

症例は67歳男性。2001年10月, 脳梗塞後のリハビリ中に急な腹部激痛を発症した。急性腹症で緊急手術を施行。上腸間膜動脈支配全領域の腸管に壊死を認め, Treitz靭帯より10cm肛門側の空腸から横行結腸脾曲まで切除した。空腸切除端の人工肛門造設も考えたが, 腹壁まで腸管を誘導し得ないため空腸と下行結腸を一期的に吻合した。縫合不全発生に陥ることなく, 救命することができた。現在, 高度の吸収障害を認める短腸症候群の状態にあるが, 吸収能向上を目指し腸管のtrophicfactorでもあるグルタミン, 短鎖脂肪酸を経口投与し, 徐々にQOLの向上を認めるほか, 栄養評価指標も安定しており, そ...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 25; no. 5; pp. 743 - 746
Main Authors 高坂, 一, 佐々木, 一晃, 西川, 紀子, 大野, 敬, 平田, 公一, 吉川, 智道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2005
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem1993.25.743

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Summary:症例は67歳男性。2001年10月, 脳梗塞後のリハビリ中に急な腹部激痛を発症した。急性腹症で緊急手術を施行。上腸間膜動脈支配全領域の腸管に壊死を認め, Treitz靭帯より10cm肛門側の空腸から横行結腸脾曲まで切除した。空腸切除端の人工肛門造設も考えたが, 腹壁まで腸管を誘導し得ないため空腸と下行結腸を一期的に吻合した。縫合不全発生に陥ることなく, 救命することができた。現在, 高度の吸収障害を認める短腸症候群の状態にあるが, 吸収能向上を目指し腸管のtrophicfactorでもあるグルタミン, 短鎖脂肪酸を経口投与し, 徐々にQOLの向上を認めるほか, 栄養評価指標も安定しており, その有用性が確認されている。消化吸収障害のある短腸症候群の患者へのグルタミン, 短鎖脂肪酸の臨床応用は, 今後期待される治療法の一つと思われた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.25.743