内頚静脈穿刺による逆行性脳灌流用カテーテルの臨床応用

従来の上大静脈から行う逆行性脳潅流法の問題点である1)完全型の内頚静脈弁が存在する場合の脳への潅流不全、2)奇静脈等を介する潅流血の下半身への流出および3)左開胸アブローチ時の送血の困難さを解決することを目的として、逆行性脳潅流用の新型カテーテルを開発し、その臨床応用を行った。新型カテーテルは、内頚静脈に直接穿刺して挿入留置でき、逆行性脳潅流の際にカテーテル先端に組み込まれたバルーンを拡張させることにより上大静脈を閉塞し、バルーン近位側で内頚静脈弁より頭側に開いている側孔から送血できる構造になっている. 胸部大動脈再建術7例において、新型カテーテルを用いて逆行性脳潅流を行った。静脈造影では、造...

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Published in人工臓器 Vol. 27; no. 2; pp. 431 - 434
Main Authors 戸田, 省吾, 北浦, 一弘, 佐藤, 伸一, 和田, 行雄, 神田, 圭一, 土井, 潔, 圓本, 剛司, 夜久, 均, 岡隆, 宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.04.1998
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.27.431

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Summary:従来の上大静脈から行う逆行性脳潅流法の問題点である1)完全型の内頚静脈弁が存在する場合の脳への潅流不全、2)奇静脈等を介する潅流血の下半身への流出および3)左開胸アブローチ時の送血の困難さを解決することを目的として、逆行性脳潅流用の新型カテーテルを開発し、その臨床応用を行った。新型カテーテルは、内頚静脈に直接穿刺して挿入留置でき、逆行性脳潅流の際にカテーテル先端に組み込まれたバルーンを拡張させることにより上大静脈を閉塞し、バルーン近位側で内頚静脈弁より頭側に開いている側孔から送血できる構造になっている. 胸部大動脈再建術7例において、新型カテーテルを用いて逆行性脳潅流を行った。静脈造影では、造影剤が内頚静脈を頭側へ向かって流れ、バルーンによって造影剤の下半身への流出が防がれていることを確認できた. 平均潅流量327mL/minで、内頚静脈圧20mmHg前後を維持できた。新型カテーテルの送血操作は全て術野の外から行うことができるため、左開胸アプローチを要する症例でも容易に逆行性脳潅流を施行することができた。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.27.431