ウシ型結核菌(BCG)による骨結核の1例

「はじめに」今回我々は, BCG接種後幼児の上腕骨結核性骨髄炎を経験した. 我が国でのBCG接種による副作用は欧米諸国と比較すると少なく, 稀な合併症であるが, 念頭に置く必要性がある. 若干の文献的考察を加えて報告する. 症例 症例:2歳2ヶ月, 男児. 主訴:左肩の疼痛. 既往歴:特記事項なし. 家族歴:祖父母を含む家族に結核患者なし. 現病歴:平成11年7月(生後5ヶ月)にBCG接種を受けた. 平成13年1月より39℃の発熱があり, 上気道炎の診断にて小児料に通院. 続いて, 左肩の疼痛が出現し, 2月15日(BCG接種1年8ヵ月後)近医整形外科を受診. 単純X線上異常を認めなかった(図...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 51; no. 3; pp. 653 - 658
Main Authors 柴田, 直子, 井上, 博文, 山田, 健治, 井上, 敏郎, 木寺, 健一, 宮田, 倫明, 山下, 倫徳, 坂, 志織
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2002
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.51.653

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Summary:「はじめに」今回我々は, BCG接種後幼児の上腕骨結核性骨髄炎を経験した. 我が国でのBCG接種による副作用は欧米諸国と比較すると少なく, 稀な合併症であるが, 念頭に置く必要性がある. 若干の文献的考察を加えて報告する. 症例 症例:2歳2ヶ月, 男児. 主訴:左肩の疼痛. 既往歴:特記事項なし. 家族歴:祖父母を含む家族に結核患者なし. 現病歴:平成11年7月(生後5ヶ月)にBCG接種を受けた. 平成13年1月より39℃の発熱があり, 上気道炎の診断にて小児料に通院. 続いて, 左肩の疼痛が出現し, 2月15日(BCG接種1年8ヵ月後)近医整形外科を受診. 単純X線上異常を認めなかった(図1-a). 3月3日の再診時, 単純X線にて左上腕骨骨端と骨幹端に骨透亮像を認めた(図1-b). 3月9日のMRIでは, T1強調画像にて(図2), 左上腕骨骨頭から近位骨幹にかけての広範囲の輝度変化を認め, 周囲の軟部組織の変化, 腋窩リンパ節の腫大も認め, 左上腕骨骨髄炎と診断された. この時より抗生剤(FRPM, CFDN)の内服治療を開始したが, 単純X線上病変の拡大傾向を認めた. 経過中に肺炎を起こし, 3月26日近医小児科に入院となった. ツ反強陽性(32×32mm)を指摘され, 上腕骨病変精査のため4月2日(左肩疼痛発症後2ヵ月)当院紹介となった.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.51.653