体外循環症例における術後出血防止対策, とくに血小板フェレーシスの応用について

近年体外循環の安全性は著しく向上したが, 長時間体外循環後などにみられる滲出性の出血傾向に悩まされる例は今なお少なくない。われわれは術後出血防止対策として, 昭和54年以来すべての開心術症例を対象に, 成分輸血法の応用により体外循環中の血液凝固因子の温存を図ってきたが, さらに最近長時間体外循環症例に対し, 血液成分連続採取装置を用いた血小板フェレーシス法(PF)により健康成人男子の供血者一名から術前日に採取した血液3,500ml分に相当する濃縮血小板血漿(PC)を, 体外循環終了後に患者に輸注する方法を追加した。今回は, PFによるPC輸注法の術後出血量などに及ぼす影響について, PC非輸注...

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Published in人工臓器 Vol. 15; no. 2; pp. 996 - 998
Main Authors 高木, 正剛, 柴田, 隆一郎, 釘宮, 敏定, 草場, 英介, 黒岩, 正行, 山内, 秀人, 宮川, 尚孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1986
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.15.996

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Summary:近年体外循環の安全性は著しく向上したが, 長時間体外循環後などにみられる滲出性の出血傾向に悩まされる例は今なお少なくない。われわれは術後出血防止対策として, 昭和54年以来すべての開心術症例を対象に, 成分輸血法の応用により体外循環中の血液凝固因子の温存を図ってきたが, さらに最近長時間体外循環症例に対し, 血液成分連続採取装置を用いた血小板フェレーシス法(PF)により健康成人男子の供血者一名から術前日に採取した血液3,500ml分に相当する濃縮血小板血漿(PC)を, 体外循環終了後に患者に輸注する方法を追加した。今回は, PFによるPC輸注法の術後出血量などに及ぼす影響について, PC非輸注群(対照群)との比較検討を行なった結果, PC輸注群は対照群に比して, 血小板数が有意(p<0.05)の高値を保ち, また術後出血量(p<0.01)および輸血量(p<0.05)の有意の減少が認められるなど, 本法の有効性が示唆された。しかし輸血量の減少にもかかわらず, 輸血後非A非B肝炎の発生率は有意の減少をみるには至らなかった。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.15.996