膵十二指腸動脈瘤破裂の2例

症例1: 74歳, 女性。右側腹部痛を訴え来院し, CT検査にて後腹膜出血を認めた。腹部血管撮影検査で後上膵十二指腸動脈からの出血を認めたが, 出血部位へのカテーテル挿入困難で, 経カテーテル的動脈塞栓術 (TAE) は不可能と判断し, 手術を施行し縫合止血した。症例2: 72歳, 男性。腹痛を訴え来院し, CT検査にて後腹膜出血を認めた。腹部血管撮影検査で前下膵十二指腸動脈瘤からの出血を認めたが, TAE困難で手術を施行し, 縫合止血した。本2症例の術後腹部血管撮影検査では, 両者とも腹腔動脈基部の狭窄と上腸間膜動脈からの側副血行路の発達を認め, これが膵十二指腸動脈瘤の発生機序と考えられた...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 26; no. 6; pp. 805 - 808
Main Authors 渡邉, 真実, 三科, 武, 鈴木, 聡, 平野, 謙一郎, 内藤, 哲也, 二瓶, 幸栄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2006
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem1993.26.805

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Summary:症例1: 74歳, 女性。右側腹部痛を訴え来院し, CT検査にて後腹膜出血を認めた。腹部血管撮影検査で後上膵十二指腸動脈からの出血を認めたが, 出血部位へのカテーテル挿入困難で, 経カテーテル的動脈塞栓術 (TAE) は不可能と判断し, 手術を施行し縫合止血した。症例2: 72歳, 男性。腹痛を訴え来院し, CT検査にて後腹膜出血を認めた。腹部血管撮影検査で前下膵十二指腸動脈瘤からの出血を認めたが, TAE困難で手術を施行し, 縫合止血した。本2症例の術後腹部血管撮影検査では, 両者とも腹腔動脈基部の狭窄と上腸間膜動脈からの側副血行路の発達を認め, これが膵十二指腸動脈瘤の発生機序と考えられた。CTで後腹膜出血を認めた場合, 腹部血管撮影検査後, TAEを施行するのが低侵襲で第一選択とされるが, 困難な場合は, 全身状態が低下している例も多く, 動脈造影検査の診断をもとに速やかに手術に移行することが重要と考える。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.26.805