胃内視鏡による送気にて発生しドレナージのみで加療し得た胃破裂の1例

症例は91歳女性, 寝たきりで数ヵ月にわたりほとんど胃を使用しておらず, ステロイドを投与されていた。胃瘻造設時の胃内視鏡での送気で胃破裂が生じた。緊急腹腔鏡検査を行い, 胃内容の腹腔内への流出がなく, 胃の損傷部が後壁で被覆されていること, 出血がコントロールされていることから, 経鼻胃管からの減圧と腹腔ドレナージで経過をみることとした。以後, 腹膜炎の徴候はみられず, 2週間後の胃管造影では造影剤の腹腔内への漏出はなかった。胃破裂発生から3週間後より胃管から経腸栄養を開始し, 64日目に退院した。現在は在宅で経管栄養を継続している。胃破裂では一般に破裂部の損傷が大きく, 縫合閉鎖や胃切除と...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 25; no. 5; pp. 753 - 756
Main Authors 斉藤, 孝, 宮崎, 賢一, 斎藤, 由理, 鈴木, 克彦, 小松, 寛治, 村越, 智
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2005
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem1993.25.753

Cover

More Information
Summary:症例は91歳女性, 寝たきりで数ヵ月にわたりほとんど胃を使用しておらず, ステロイドを投与されていた。胃瘻造設時の胃内視鏡での送気で胃破裂が生じた。緊急腹腔鏡検査を行い, 胃内容の腹腔内への流出がなく, 胃の損傷部が後壁で被覆されていること, 出血がコントロールされていることから, 経鼻胃管からの減圧と腹腔ドレナージで経過をみることとした。以後, 腹膜炎の徴候はみられず, 2週間後の胃管造影では造影剤の腹腔内への漏出はなかった。胃破裂発生から3週間後より胃管から経腸栄養を開始し, 64日目に退院した。現在は在宅で経管栄養を継続している。胃破裂では一般に破裂部の損傷が大きく, 縫合閉鎖や胃切除とドレナージ術が行われることがほとんどだが, 限定された条件下では厳重な観察のもとにドレナージのみで治療可能な症例もあると考えられた。また, その決定にあたり腹腔鏡検査が有用であった。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.25.753