第9回心臓性急死研究会 WPW症候群を合併し突然死をきたした先天性QT延長症候群の1例
症例:15歳女性.2回の失神発作歴を有し,入院時の心電図上,間欠的なA型デルタ波と,デルタ波の有無に無関係のQT延長(QTc間隔はデルタ波あり0.63秒1/2,デルタ波O.64秒1/2)がみられ,動悸に一致したtorsade de pointesが確認され解質,聴力には異常なく,母親にもQT延長(QTc0.53秒1/2)があり,先天性QT延長症候群と診断した.暗算負荷によりさらにQT間隔が延長し,QT延長に交感神経系の関与が示唆された.電気生理学的検査ではプロプラノロール(0.2mg/kg)静注前後で心房細動が誘発されたがデルタ波を伴わず,投与後の心室応答頻度の増加もなかった.β 遮断薬は安全...
        Saved in:
      
    
          | Published in | 心臓 Vol. 29; no. Supplement5; pp. 109 - 112 | 
|---|---|
| Main Authors | , , , , , , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            公益財団法人 日本心臓財団
    
        1997
     | 
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 0586-4488 2186-3016  | 
| DOI | 10.11281/shinzo1969.29.Supplement5_109 | 
Cover
| Summary: | 症例:15歳女性.2回の失神発作歴を有し,入院時の心電図上,間欠的なA型デルタ波と,デルタ波の有無に無関係のQT延長(QTc間隔はデルタ波あり0.63秒1/2,デルタ波O.64秒1/2)がみられ,動悸に一致したtorsade de pointesが確認され解質,聴力には異常なく,母親にもQT延長(QTc0.53秒1/2)があり,先天性QT延長症候群と診断した.暗算負荷によりさらにQT間隔が延長し,QT延長に交感神経系の関与が示唆された.電気生理学的検査ではプロプラノロール(0.2mg/kg)静注前後で心房細動が誘発されたがデルタ波を伴わず,投与後の心室応答頻度の増加もなかった.β 遮断薬は安全と判断し,洞性徐脈を合併していたため,内因性交感神経刺激作用を有するピンドロール(15mg/日)投与を行った.投与数日後から,前胸部誘導のST-T変化と心室性期外収縮の増加がみられ,ピンドロールを中止し,メキシレチン(300mg/日)に変更した.変更後約2年間は無症状であり,24時間心電図では心室性期外収縮もなかった.自宅にて突然死したが,この2年間の心電図の最大QT間隔,最大QTc間隔,QT dispersionは徐々に延長していた.本例は先天性QT延長症候群にWPW症候群を合併した稀な症例であり,治療におけるβ 遮断薬や抗不整脈薬の選択の上で示唆に富む,貴重な症例と思われた. | 
|---|---|
| ISSN: | 0586-4488 2186-3016  | 
| DOI: | 10.11281/shinzo1969.29.Supplement5_109 |