ロボット手術におけるソフト凝固の代用としてのモノポーラ電気メス設定の電気的特性評価

【背景】ソフト凝固は高周波電気モードの一つであり,200 V以下の電圧を維持しながら100℃以下の温度で組織タンパク質を変性・凝固させるため,アーク放電を最小限に抑えることができる.胸腔鏡手術では広く使用されているが,da Vinciを含むロボットシステムにはモノポーラソフト凝固モードは搭載されていない.我々は,低出力モノポーラ凝固を代用としてロボット支援下手術で使用しているが,その電気的特性は検討されていない.【方法】VIO3システムのモノポーラソフト凝固を対照として電気出力を解析した.VIO dVシステムのCutおよびForced 凝固モードでの出力を,電気手術用アナライザーを用いて50,...

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Published in天理医学紀要 p. 28-015
Main Authors 宮本 英, 大角 潔, 森村 祐樹, 中川 達雄, 小林 萌
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所 2025
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ISSN1344-1817
2187-2244
DOI10.12936/tenrikiyo.28-015

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Summary:【背景】ソフト凝固は高周波電気モードの一つであり,200 V以下の電圧を維持しながら100℃以下の温度で組織タンパク質を変性・凝固させるため,アーク放電を最小限に抑えることができる.胸腔鏡手術では広く使用されているが,da Vinciを含むロボットシステムにはモノポーラソフト凝固モードは搭載されていない.我々は,低出力モノポーラ凝固を代用としてロボット支援下手術で使用しているが,その電気的特性は検討されていない.【方法】VIO3システムのモノポーラソフト凝固を対照として電気出力を解析した.VIO dVシステムのCutおよびForced 凝固モードでの出力を,電気手術用アナライザーを用いて50, 100, 500, 1,000, 1,500 Ωの抵抗値で測定した.電圧はオームの法則に基づいて計算し,抵抗-電圧曲線を作成した.【結果】Effect 8と10のソフト凝固では,それぞれ103.5 Vと115.5 Vで電圧プラトーが見られ,これらの電圧を参照値とした.VIO dV Cutモードでは,抵抗値とともに電圧が上昇しプラトーは観察されなかった.Forced 凝固モードでは,Effect 1の設定において,出力上限が15–23 Wで早期により安定した電圧プラトーが参照値範囲内で認められた.Effectの高い設定では,プラトーを形成しないか,参照電圧上限を超え不適合と考えられた.【結論】VIO dVシステムのForced凝固モードにおいて,Effect 1の電力制限15–23 Wの設定は,ソフト凝固に匹敵する電気的特性を示し実用的である可能性が示された.
ISSN:1344-1817
2187-2244
DOI:10.12936/tenrikiyo.28-015