後骨間神経麻痺が疑われたpossible multifocal motor neuropathyの1例

33歳男性.約7か月の経過で進行する左手首関節と手指の伸展不良を認めた.当初,後骨間神経麻痺が疑われたが,神経伝導検査で橈骨神経の上腕と肘間で伝導ブロック,超音波検査で同部位に腫大を認め,抗GM1 IgM抗体が陽性であった.橈骨神経に限局するpossible multifocal motor neuropathy(MMN)と診断し,免疫グロブリンで加療し筋力の改善を得た.MMNは感覚障害を伴わず多巣性に運動神経障害を来すが,単一神経に限局して生じた際,possible MMNと診断される.原因不明の後骨間神経麻痺では鑑別として考慮する必要があり,超音波検査が診断に有用である可能性が示唆された....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in臨床神経学 Vol. 65; no. 3; pp. 230 - 235
Main Authors 漆谷, 真, 田中, 弘一, 寺島, 智也, 中村, 竜太郎, 北村, 彰浩, 山川, 勇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2025
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-002053

Cover

More Information
Summary:33歳男性.約7か月の経過で進行する左手首関節と手指の伸展不良を認めた.当初,後骨間神経麻痺が疑われたが,神経伝導検査で橈骨神経の上腕と肘間で伝導ブロック,超音波検査で同部位に腫大を認め,抗GM1 IgM抗体が陽性であった.橈骨神経に限局するpossible multifocal motor neuropathy(MMN)と診断し,免疫グロブリンで加療し筋力の改善を得た.MMNは感覚障害を伴わず多巣性に運動神経障害を来すが,単一神経に限局して生じた際,possible MMNと診断される.原因不明の後骨間神経麻痺では鑑別として考慮する必要があり,超音波検査が診断に有用である可能性が示唆された.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-002053