キウイフルーツのコラゲナーゼの精製と性質

キウイフルーツ果汁中のコラゲナーゼ活性の存在を新たに明らかにし, さらにその精製を行い, その生化学的性質について検討し, 以下のような結果を得た. (1) 粗抽出液の活性は果肉部にあり, 至適pHは5.0, 至適温度は60℃であった.このことから, 加熱調理の初期の段階で本酵素は強く作用するものと思われた. (2) 粗抽出液を-20℃で1カ月冷凍保存しても安定であり, 調製直後のものの約89%の活性が保持されていた. (3) 粗抽出液のコラゲナーゼ活性は新鮮重量あたり, いちじく, パパイヤ, 生姜, マンゴーより高く, パイナップルより低かった. (4) ゲルろ過クロマトグラフィーの溶出位...

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Published in日本家政学会誌 Vol. 49; no. 1; pp. 5 - 14
Main Authors 堤, ちはる, 中島, 史絵, 田中, 初美, 永弘, 悦子, 吉中, 哲子
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本家政学会 01.01.1998
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ISSN0913-5227
1882-0352
DOI10.11428/jhej1987.49.5

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Summary:キウイフルーツ果汁中のコラゲナーゼ活性の存在を新たに明らかにし, さらにその精製を行い, その生化学的性質について検討し, 以下のような結果を得た. (1) 粗抽出液の活性は果肉部にあり, 至適pHは5.0, 至適温度は60℃であった.このことから, 加熱調理の初期の段階で本酵素は強く作用するものと思われた. (2) 粗抽出液を-20℃で1カ月冷凍保存しても安定であり, 調製直後のものの約89%の活性が保持されていた. (3) 粗抽出液のコラゲナーゼ活性は新鮮重量あたり, いちじく, パパイヤ, 生姜, マンゴーより高く, パイナップルより低かった. (4) ゲルろ過クロマトグラフィーの溶出位置から, 本酵素の分子量は約52kDaと推定された.精製酵素のSDS-PAGEでは約60kDaの位置にコラゲナーゼ活性を有する単一バンドが検出された. (5) 精製酵素のコラゲナーゼ活性は, 100mM のEDTAの添加によって著明な減少は認められなかった. (6) 精製酵素のコラゲナーゼ活性は, HgCl2により阻害され, システインによりその阻害は回復した.このことからSH酵素であることが考えられた. (7) 精製酵素はプロテアーゼ活性を示さなかった. (8) キウイフルーツ1個あたり最低量138μgのコラゲナーゼが含まれていた.
ISSN:0913-5227
1882-0352
DOI:10.11428/jhej1987.49.5