エリスロポエチン投与による腎性貧血改善に伴う透析効率の変化について

rHuEPO投与により腎性貧血は確実に改善される反面、Ht値上昇による透析効率の低下が懸念される。我々は安定維持透析患者に対しrHuEPO投与前後での溶質除去率について比較検討した。対象はrHuEPO投与により貧血の改善がみられ、且つ血液流量、透析器、透析時間等の透析条件に変更の無い安定維持透析患者8名である。検討期間はrHuEPO投与前3ケ月とrHuEPO投与により連続してHt値30%以上に維持できた3ケ月である。Ht値の上昇は平均9.65±2.45%であった。Ht値改善に伴う除去率の変化はクレアチニン、尿酸で有意な低下が認められたが、尿素窒素、リン及び尿毒症性ピーク2aでは有意の差は認めら...

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Published in人工臓器 Vol. 20; no. 1; pp. 19 - 22
Main Authors 山崎, 英隆, 佐野, 元昭, 市川, 久志, 小出, 桂三, 川崎, 忠行, 武田, 福治, 百瀬, 卓志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1991
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.20.19

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Summary:rHuEPO投与により腎性貧血は確実に改善される反面、Ht値上昇による透析効率の低下が懸念される。我々は安定維持透析患者に対しrHuEPO投与前後での溶質除去率について比較検討した。対象はrHuEPO投与により貧血の改善がみられ、且つ血液流量、透析器、透析時間等の透析条件に変更の無い安定維持透析患者8名である。検討期間はrHuEPO投与前3ケ月とrHuEPO投与により連続してHt値30%以上に維持できた3ケ月である。Ht値の上昇は平均9.65±2.45%であった。Ht値改善に伴う除去率の変化はクレアチニン、尿酸で有意な低下が認められたが、尿素窒素、リン及び尿毒症性ピーク2aでは有意の差は認められなかった。また、クレアチニン、尿酸の透析効率の低下により透析条件の変更を余儀なくされた例はなかった。従って、rHuEPO投与によるHt値の上昇を30%にとどめる限り腎性貧血の改善は臨床上問題とはならないと考えられる。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.20.19