各種腎疾患における尿中transforming growth factor-betaの測定

全身性エリテマトーデス(以下SLE) 10名,巣状糸球体硬化症(以下FGS) 8名, IgA腎症(以下IgAN) 9名,および膜性腎症(以下MN) 6名に対して,ヒトTGF-beta1+2+3に対するモノクローナル抗体を用いたELISA法にて,尿中TGF-betaの測定を行った.健常人の尿中TGF-betaが46.9±43.9ng/mgCrであるのに対して, SLE患者では96.4±58.2ng/mgCr, FGS患者では555.5±458.4ng/mgCr, IgAN患者では54.1±37.4ng/mgCr, MN患者では24.8±13.3ng/mgCrであった. FGS患者の尿中TGF-b...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 17; no. 1; pp. 45 - 51
Main Authors 小野, 久米夫, 三橋, 秀基, 成清, 卓二, 矢野, 新太郎, 金井, 秀夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 1994
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.17.45

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Summary:全身性エリテマトーデス(以下SLE) 10名,巣状糸球体硬化症(以下FGS) 8名, IgA腎症(以下IgAN) 9名,および膜性腎症(以下MN) 6名に対して,ヒトTGF-beta1+2+3に対するモノクローナル抗体を用いたELISA法にて,尿中TGF-betaの測定を行った.健常人の尿中TGF-betaが46.9±43.9ng/mgCrであるのに対して, SLE患者では96.4±58.2ng/mgCr, FGS患者では555.5±458.4ng/mgCr, IgAN患者では54.1±37.4ng/mgCr, MN患者では24.8±13.3ng/mgCrであった. FGS患者の尿中TGF-betaは,健常人と比較して有意に(p<0.05)高値であった.またSLE患者では健常人に比べて高値である傾向を示し,逆にMN患者では低値を示す傾向があった.一方, IgAN患者は健常人と差がみられなかった.このことからTGF-betaがヒトの腎炎においても,糸球体内の細胞増殖に対しては抑制的に働き,糸球体内のECM代謝に対しては蓄積を促進するように働いている可能性が示唆された.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.17.45