抗頻拍ペーシング治療を想定したブロック周期長の意義とI群抗不整脈薬投与による修飾

心室頻回刺激は持続性心室頻拍 (VT) を高率に停止させることができ, 抗頻拍ペーシング治療に重要な役割を果たしている.一方VT中に頻回刺激を加え, エントレインメント現象を確認しつつ, ペーシング周期長を順次短縮するとVTを停止させる最長の周期長であるブロック周期長が得られる.このブロック周期長はレートの増加や心室細動への移行を伴わずにVTを停止させうる最も安全なペーシング周期長と考えられる.抗頻拍ペーシングによるVTの停止を想定し, 1群抗不整脈薬によるブロック周期長のVT周期長に対する比率を検討し, 薬剤治療後のブロック周期長が予測できるかを検討した.9例における11回のVTでプロカイン...

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Published in心電図 Vol. 16; no. 6; pp. 706 - 714
Main Authors 大平, 晃司, 阿部, 晃, 相沢, 義房, 池主, 雅臣, 柴田, 昭, 高橋, 和義, 鷲塚, 隆, 北沢, 仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 25.11.1996
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.16.706

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Summary:心室頻回刺激は持続性心室頻拍 (VT) を高率に停止させることができ, 抗頻拍ペーシング治療に重要な役割を果たしている.一方VT中に頻回刺激を加え, エントレインメント現象を確認しつつ, ペーシング周期長を順次短縮するとVTを停止させる最長の周期長であるブロック周期長が得られる.このブロック周期長はレートの増加や心室細動への移行を伴わずにVTを停止させうる最も安全なペーシング周期長と考えられる.抗頻拍ペーシングによるVTの停止を想定し, 1群抗不整脈薬によるブロック周期長のVT周期長に対する比率を検討し, 薬剤治療後のブロック周期長が予測できるかを検討した.9例における11回のVTでプロカインアミドおよびメキシレチン投与前後で同一波形のVTが誘発され, 頻回刺激にてブロック周期長が得られた.VT周期長及びブロック周期長はプロカインアミド, メキシレチン投与後いずれも有意に延長した.しかし, ブロック周期長のVT周期長に対する比率の変化は症例によって異なっており, 投薬後のブロック周期長は正確に予想することはできなかった.また比率を検討することにより開始時のペーシング周期長の選択 (平均80%) 及び過度に短いペーシング周期長 (約60%) の回避に役立つ可能性が示唆された.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.16.706