術後に再発し急激に進行した肺原発リンパ上皮腫様癌の1例

症例は59歳,男性.検診の胸部単純写真で左中肺野の結節影を指摘され当院を受診した.胸部CTで左S4に13 mmの境界明瞭な類円形結節影を認めた.気管支鏡下擦過細胞診ではclass IIであったがFDG-PETで異常集積を認め,原発性肺癌ないし原発不明転移性肺腫瘍を疑い手術となった.左上葉楔状切除術を施行したが術中迅速診では診断が確定せず,術後の免疫染色でリンパ上皮腫様癌と診断された.肺葉切除および縦隔リンパ節郭清を勧めたが患者の同意が得られなかった.術後8ヵ月目に左肺門部および縦隔・左鎖骨下リンパ節に再発し,化学療法CDDP/VNR1コース,CBDCA/PTX2コースおよび放射線療法を施行した...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 26; no. 1; pp. 030 - 035
Main Authors 星, 史彦, 齋藤, 泰紀, 羽隅, 透, 鈴木, 博義, 齊藤, 涼子, 川村, 昌輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.01.2012
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.26.030

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Summary:症例は59歳,男性.検診の胸部単純写真で左中肺野の結節影を指摘され当院を受診した.胸部CTで左S4に13 mmの境界明瞭な類円形結節影を認めた.気管支鏡下擦過細胞診ではclass IIであったがFDG-PETで異常集積を認め,原発性肺癌ないし原発不明転移性肺腫瘍を疑い手術となった.左上葉楔状切除術を施行したが術中迅速診では診断が確定せず,術後の免疫染色でリンパ上皮腫様癌と診断された.肺葉切除および縦隔リンパ節郭清を勧めたが患者の同意が得られなかった.術後8ヵ月目に左肺門部および縦隔・左鎖骨下リンパ節に再発し,化学療法CDDP/VNR1コース,CBDCA/PTX2コースおよび放射線療法を施行したが進行し術後13ヵ月目に永眠した. 肺原発リンパ上皮腫様癌の報告は本邦では極めて稀である.予後は良好とされてきたが,術式選択においては通常の肺癌と同様に慎重であるべきと考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.26.030