小児治療関連白血病と骨髄異形成症候群におけるMLL, RAS, p16およびp53遺伝子の解析
小児治療関連白血病17例においてMLL, RAS, p16とp53遺伝子の解析を行った.病型は急性骨髄性白血病 (AML) 12例と骨髄異形成症候群 (MDS) 4例, そして急性リンパ性白血病 (ALL) 1例で, 初診時の病型は非ポジキンリンパ腫 (N-HL) が5例, 神経芽腫が4例, ALLが5例, AMLが2例, 若年型慢性骨髄性白血病 (JCML) が1例であった.MLL遺伝子の再構成は14例 (82%) にみられ, VP-16投与13例中12例 (92%), 非投与4例中2例 (50%) であった.pl6遺伝子の検討では, homozygousdeletionは検索した12例には...
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Published in | 日本小児血液学会雑誌 Vol. 14; no. 2; pp. 72 - 76 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
30.04.2000
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ISSN | 0913-8706 1884-4723 |
DOI | 10.11412/jjph1987.14.72 |
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Summary: | 小児治療関連白血病17例においてMLL, RAS, p16とp53遺伝子の解析を行った.病型は急性骨髄性白血病 (AML) 12例と骨髄異形成症候群 (MDS) 4例, そして急性リンパ性白血病 (ALL) 1例で, 初診時の病型は非ポジキンリンパ腫 (N-HL) が5例, 神経芽腫が4例, ALLが5例, AMLが2例, 若年型慢性骨髄性白血病 (JCML) が1例であった.MLL遺伝子の再構成は14例 (82%) にみられ, VP-16投与13例中12例 (92%), 非投与4例中2例 (50%) であった.pl6遺伝子の検討では, homozygousdeletionは検索した12例にはみられず, PCR-SSCP法による変異もみられなかった.p53遺伝子は検索した15例中には変異はみられず, 治療関連白血病にはp53遺伝子の関与は少なく, Li-Fraumeni症候群との関連はないことが明らかになった.RAS遺伝子の検討では, 1例 (6%) にK-RAS遺伝子の変異を認めた.この変異はK-RAS遺伝子のcodonl2のGGT (Gly) →GAT (Asp) の変異で, この例はALLからAML-M5を発症し, その後9日で死亡した.これまで白血病でみられるRAS遺伝子の変異はN-RAS遺伝子がほとんどであり, K-RAS遺伝子の変異はM4, M5に報告があるのみである.今回の検討により, 小児治療関連白血病ではMLL遺伝子の再構成は高頻度にみられるが, p53やp16の変異はほとんどみられないことが明らかになった. |
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ISSN: | 0913-8706 1884-4723 |
DOI: | 10.11412/jjph1987.14.72 |